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 国際秩序を守る者はだれか、乱す者はだれか。その区別がつきにくい時代の到来である。

 この週末、カナダで主要7カ国(G7)の首脳会議があり、中国でも「上海協力機構」と呼ばれる会合が開かれた。

 冷戦期から自由と民主主義の旗印を保ったG7は、結束の危機を印象づけた。トランプ米大統領の横紙破りが原因だ。

 クリミア併合以来、制裁対象であるロシアを、やみくもに参加国に戻すよう求める。さらに、採択された首脳宣言を承認しないというツイートを発する。こうした振るまいが、G7の権威を深く傷つけた。

 欧州・カナダ・日本の6カ国から、孤立する米国。G6プラス1とも揶揄(やゆ)される分断線は、主に貿易政策で際だった。

 米国の安全保障を理由にした高関税に対し、欧州も日本も懸念を示した。カナダのトルドー首相は「侮辱」とも批判した。これにトランプ氏は怒り、宣言の否定に走ったようだ。

 一方の上海協力機構。中国、ロシア、中央アジア4カ国、インド、パキスタンによる「青島宣言」は、貿易の保護主義に反対する方針を明示した。

 世界人口の4割を抱える国々の総意として、当然の原則を確認する姿勢をアピールした。宣言には、米国が離脱したイランの核合意を順守する重要性も盛り込まれている。

 この協力機構を主導する中ロなど新興国の一部には、強権的な政治や、国際法を軽視する姿勢などの共通点がある。それがいまや、国際合意の尊重と自由貿易の主張において、もっともらしい宣言を出すという皮肉な構図である。

 もちろん、機構の側には今も不透明な貿易政策や、他国への理不尽な介入などが横行している国がある。だとしても、それを戒めてきたG7が今回ほど、モラルの低下を感じさせたことはなかった。

 共通の価値観が陰り、足並みをそろえることさえ難しくなった旧来の「先進国」世界。かたや、自由や民主制度で問題はあっても、政治を安定的に統制する新興国世界――。

 国際社会に規範を示す力が、その後者へと傾く流れは、今後さらに強まりかねない。何より「米国第一」を掲げるトランプ政権が拍車をかけている。

 揺らいでいるのは、G7という枠組みの話ではない。米国というリーダーが退く世界の秩序をどう守るか、何を新たな秩序とすべきか。それを描き出す苦悩を、G6は背負っている。その現実を示した週末だった。

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