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 福島第一原発で大事故を起こした東京電力が、近くの福島第二原発も廃炉にする方向で検討する、と表明した。7年前の事故以来、福島県をはじめ地元自治体や議会から、廃炉を再三求められていた。遅きに失したとはいえ、当然の判断である。

 廃炉について明言を避け、あいまいな状況を長引かせたことは、被災地の復興の足かせになった。東電は、はかりしれない深手を負わせた責任の重さを改めて胸に刻み、後始末をやりとげなければならない。

 まずは廃炉を正式に決め、時期や進め方など具体的な計画づくりを急ぐ必要がある。

 大切なのは安全の確保だ。東電は今後、2カ所で廃炉を並行して進めることになる。東日本大震災で福島第二は大事故を免れたが、通常の廃炉でも、大量の放射性廃棄物の管理などに細心の注意が求められる。

 一足早く着手した福島第一では、事故で核燃料が溶け落ちた炉内の状況をいまだつかみきれず、作業は難航を極めている。数十年に及ぶ廃炉を安全に進められるのか、不安を抱く住民も少なくない。体制の整備に万全を期さなければならない。

 原発周辺では事故後、住民が長期の避難を強いられた。生活の基盤が根こそぎ壊され、今も帰還が進まない地域も目立つ。廃炉作業に伴う雇用や、県が進める再生可能エネルギー関連のプロジェクトへの協力などを通して、東電は地域の再生にも、積極的に貢献するべきだ。

 福島第二を廃炉にすれば、震災前に福島に10基あった原発はすべてなくなり、東電は半数以上の原発を失うことになる。これを機に、原発頼みの経営から転換を図るべきではないか。

 実質国有化された東電は、巨額の事故処理費用をまかなうため、利益を大幅に増やすことを求められている。そのため、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働や東通原発(青森県)の完成をめざすが、どちらも実現の見通しは立っていない。

 福島第一の事故以来、国内では原発に批判的な世論が強く、安全対策コストも大幅に上がった。この先も多くの経営資源を原発に割くことが、東電にとって得策だろうか。海外では多くのエネルギー企業が、コスト低下や技術革新が進む再エネなどを新たな成長分野と見定め、先を競って投資や研究開発を進めている。

 悲惨な事故を起こした後も、国民負担で延命されている特殊な会社が、社会への責任を果たす道はどこにあるのか、いま一度、問う必要がある。

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