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 日本が協力する高速炉「アストリッド」計画について、開発主体のフランスが規模を大幅に縮小する方針を明らかにした。海外の計画に頼って高速炉開発を続けようとするのは、やはり無理がある。巨額の投資に見合う成果が得られるか不透明になった以上、日本は計画から撤退するべきだ。

 高速炉はプルトニウムを燃やす特殊な原子炉で、アストリッドは実用炉の手前の実証炉にあたる。当初は60万キロワットにする計画だったが、フランス政府は10万~20万キロワットに縮小すると決めた。建設するかどうかは24年に判断するという。

 日本は原発の使用済み燃料を再処理し、抽出したプルトニウムを高速炉などで燃やす核燃料サイクルをめざす。実証炉の前段の原型炉「もんじゅ」の廃炉を決めた際、アストリッドの共同開発を核燃料サイクル継続の柱にすえた。来年度まで年50億円ほどを負担し、それ以降どうするかは年内に判断する。

 原型炉と実証炉は役割が違うため単純には比較できないが、もんじゅより小さくなるアストリッドで、十分な成果が得られるのか疑わしい。フランスの求めに応じて数千億~1兆円の建設費を折半し、多くの技術者を参加させても、無駄になりかねない。

 1兆1千億円超の巨費を投じたもんじゅは、20年あまりの間ほとんど動かず、めざす成果のごく一部しか達成できなかった。ずるずる決断を先延ばしして傷口を広げた過ちを繰り返さぬよう、アストリッドには早く見切りをつけるべきだ。

 そもそも、もんじゅ廃炉を決めながら、問題を総括せずに従来の政策に固執し、「つなぎ」の高速炉としてアストリッドに飛びついた結果、今回の事態を招いた。高速炉開発を続けていくことの妥当性も、厳しく問い直さねばならない。

 ウランを燃やす普通の原発より高速炉は発電コストが高い。米英独は早くに開発から撤退した。継続するフランスも「それほど緊急性はない」と、実用化は遠く80年ごろと見る。

 日本が開発を続けようとしても、普通の原発の新規立地すらできない現状では、国内に実証炉を建設することは極めて難しい。実用化に現実味がないことは明らかなのに、漫然と巨費を注ぎ続けるのは無責任だ。

 高速炉開発の旗を降ろせば、核燃料サイクル全体について再考せざるをえなくなる。原子力政策の抜本的な見直しは影響が大きいが、これ以上、議論を先送りしてはならない。

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