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 政府が新たな「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)を閣議決定した。2度の消費増税延期で揺らいだ財政再建の目標をどうするのか。そのもとで、社会保障改革をどう進めるか。骨太の方針の最大の焦点だったが、踏み込み不足と言わざるを得ない。

 今回の方針では、政策経費を新たな借金に頼らず賄える基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する時期の目標を、従来の20年度から25年度へ5年遅らせた。

 一方、社会保障については「高齢化による増加分に相当する伸びにおさめる」としたものの、具体的な数値の目安は示さなかった。また「給付と負担の在り方を含め社会保障の総合的かつ重点的に取り組むべき政策」は20年度に取りまとめるとした。あまりに悠長だ。

 社会保障費の毎年度の伸びを5千億円に抑えることを目安にした16~18年度の3年間は、薬価制度の抜本改革や生活保護制度の見直しなどを進めた。今後さらなる歳出改革に踏み込むには、医療や介護で高齢者にも応分の負担を求めたり、保険の給付範囲を見直したりといった、「負担と給付」の議論が避けられない。

 ところが与党内には、負担増や給付カットの議論は来年後半以降に先送りしたいという空気が広がる。来年は春に統一地方選、夏に参院選、10月に消費税10%への引き上げと、政治的に大きなイベントが続くからだ。しかし、経済財政諮問会議がそれに追随したのでは、政権の経済財政運営の「司令塔」としての役割の放棄ではないか。

 諮問会議の議長でもある首相に、重い責任があるのは言うまでもない。首相は、急速に進む少子高齢化を「国難とも呼ぶべき事態」と位置づけて、昨年の衆院選を戦いながら、「痛み」を伴う改革については一向に語ろうとしない。

 本当に危機意識があるのなら、早期に負担と給付の見直しに向けた議論を始め、超高齢社会を乗り切るための財政と社会保障の見取り図を示すべきだ。

 政府は先月、65歳以上の高齢者数がほぼピークを迎える2040年度の社会保障給付費の推計や、医療や介護サービスの担い手不足の見通しを公表した。政府が財政再建の目標に掲げる25年度は、超高齢社会の通過点に過ぎない。

 さらなる社会保障の歳出改革にどこまで踏み込むのか。その時に税や保険料の負担はどの程度になるのか。議論は待ったなしだ。

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