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 問題の鍵を握る人物がようやく公の場に出てきたというのに、その説明は具体性も説得力も欠いていた。これでは到底、疑念の払拭(ふっしょく)はできない。

 加計学園の獣医学部新設をめぐり、加計孝太郎理事長がきのう、学園本部のある岡山市で初めて記者会見に応じた。愛媛県の文書に記されていた2015年2月の安倍首相との面会を否定し、学園の事務局長が県に虚偽の事実を伝えていたという従来の説明を繰り返した。

 県の文書には、学園が首相との面会の実現に腐心したり、面会を受けて首相秘書官から資料提出の指示を受けたりしたとの記述もある。単に面会の事実を否定するだけでは、つじつまが合わない。

 面会の際に学園側が提供したとされる資料が、文部科学省内に残っていたことが最近判明した。一連の県の文書の信憑性(しんぴょうせい)を裏付けるものだ。加計氏が面会を否定する根拠が「記憶も記録もない」というだけでは、とても信用するわけにはいかない。

 加計氏は、首相が「腹心の友」と呼ぶ30年来の友人。第2次政権が発足した2012年末以降、少なくとも19回、食事やゴルフなどをともにしている。

 加計氏は「仕事のことを話すのはやめようというスタンス」「(首相は)こちらの話は、あんまり興味がない」として、首相と獣医学部の話は一切したことがないと断言した。これも、にわかには信じられない。

 そもそもきのうの会見の設定自体、誠実に説明責任を果たそうという姿勢から程遠かった。会見の案内は開始時間のわずか2時間前。出席者は地元の記者に限られ、東京や大阪などでこの問題を追跡してきた記者に機会を与えなかった。質問が続くなか、会見は加計氏の「校務」を理由に30分足らずで打ち切られた。

 学園側の不誠実な対応は他にもある。参院予算委員会が、面会を捏造(ねつぞう)した理由や経緯などを示す資料を提出するよう求めたのに対し、「ゼロ回答」で応じたことだ。与野党そろっての要請をどう考えているのか。

 加計氏の形ばかりの会見は、国会が最終盤にさしかかり、この問題の幕引きを急ぐ政権側の動きと軌を一にしている。

 本紙の6月の世論調査では、面会を否定する首相と学園側の説明に「納得できない」が75%にのぼった。きのうの会見を経ても、それは変わらないだろう。会期延長が確実になったいま、国会は加計氏の証人喚問を速やかに実現し、事実関係を徹底的に問いただす必要がある。

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