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 世界の海を汚すプラスチックごみを、どう減らしていくか。具体策を各国に促す「海洋プラスチック憲章」が、先のG7首脳会議で議論になった。

 英仏独伊とカナダ、EUが署名したのに、日本は米国とともに見送った。中川雅治環境相は「市民生活や産業への影響を慎重に検討する必要がある」と釈明するが、国内外のNGOから失望の声があがっている。

 この問題は3年前の首脳会議からの懸案だ。今さら調整のための時間が必要だなどといっても説得力を欠く。「環境よりも産業」という政権の姿勢が、日本の評判を傷つけている。

 プラスチックごみは年に3億トン生まれていて、これまでにリサイクルされたものは1割に満たない。少なくとも年間800万トンが海に流れ込んでいるとみられ、水深1万メートルの深海からもポリ袋の破片が見つかる。

 プラスチックは分解されにくく、波や紫外線で砕けて5ミリ以下のマイクロプラスチック(MP)になる。これが有害物質を吸着して魚介類に取り込まれ、食物連鎖で人間をふくむ多くの動物に悪影響を及ぼすとの懸念が指摘されている。

 すでに60カ国以上が、何らかの規制に乗り出した。

 欧州委員会は先月、ストローやフォーク、綿棒の軸といった再利用できないプラスチック製品の流通を禁じる新規制案を示した。フランスはプラスチック製の使い捨て容器や食器の販売を禁じる法律をつくった。米国や英国では、洗顔料や歯磨き粉に使われてきたMPの一種マイクロビーズが制限されている。

 海の恵みを受けてきた国として、日本も本気で問題の解決にあたる責任がある。使い捨てプラスチックの1人あたりの使用量が米国に次いで多いことを自覚し、分別やリサイクルだけでなく、プラごみそのものを減らす取り組みを急ぎたい。

 超党派の議員が提出した海岸漂着物処理推進法の改正案が、先日成立した。マイクロビーズの使用の抑制や、廃プラスチック類の再利用を産業界に求める条文が新たに盛りこまれた。関連企業は誠実に対応し、社会的責任を果たしてもらいたい。

 一部の業界には規制を嫌う声が根強くある。政治のリーダーシップが不可欠だ。

 きのう閣議決定された第4次循環型社会形成推進基本計画は、プラスチックの循環戦略を定め、使用の削減や回収、代替品への切り替えなどを進めるとうたう。いかに実効あるものにするか。世界の目が注がれていることを忘れてはならない。

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