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 企業統治に根深い問題があるとき、株主も声を上げて、経営陣に対応を迫る必要がある。

 非鉄金属大手の三菱マテリアルが、同社の直島製錬所で品質不正があったことを公表した。日本工業規格(JIS)を満たしていないものを、規格内の製品として出荷していた。昨年来、子会社5社でデータ改ざんが相次いで発覚したが、本社にも不正が及んでいたことになる。極めて深刻な事態だ。

 加えて問題なのは、情報開示に後ろ向きなことだ。経営トップが3月にこの不正の疑いを把握し、4月に認証機関の要請を受けてJISマークの使用を自粛していたにもかかわらず、今月8日の認証取り消しまで一切公表しなかった。

 今日に至るまで、この問題での会見も開いていない。11日に社長の引責辞任を発表したときも、「社長交代にあたって」との文章を出しただけだった。

 社長は交代後も取締役会長として「グループ全体のガバナンス体制強化にかかわる指導、監督、支援及び助言等を行う」と述べている。新社長に就く副社長も3月時点で、本社での不正の疑いを認識していたという。これで体制刷新になるのか、疑問が拭えない。

 しかも3月に公表した「ガバナンス体制強化」は、子会社での不正を前提に、グループ企業にかかわる意思疎通や統制の強化を前面に出している。本社で起きた問題にきちんと取り組めるのだろうか。

 きょう開かれる三菱マテリアルの株主総会では、現社長、新社長を含めた取締役の選任も議案に含まれている。本社にまで及んだ不正は、顧客や社会の信頼を傷つけ、企業の価値を損なうことにつながる。昨年度は増収増益の好業績だったが、企業の持続的成長や社会的役割を考えれば、株主としても看過できない事態のはずだ。

 昨今の株主総会では、会社側提案への反対も目立つようになっている。金融庁が推進する「日本版スチュワードシップ・コード」は、機関投資家に対し、企業価値の向上や持続的成長を促すために投資先と対話することを求めている。

 昨年来、日産自動車、スバル、神戸製鋼所、東レ、そして三菱マテリアルと、日本の製造業を代表するような1部上場企業で、品質不正が相次いだ。責任はもちろん、不正に関与した社員や、対策を怠った経営陣にある。しかし株主も、企業の姿勢を正す力を持っている。株主総会の場を含め、建設的な役割を果たすことを期待したい。

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