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 大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震で、同府高槻市の市立小学校のブロック塀が倒れ、4年生の三宅璃奈(りな)さん(9)が死亡した事故を受け、府教育庁は、府内の小中高校などの通学路にあるブロック塀の安全点検を一斉に実施することを決めた。22日から始め、29日までに結果の報告を求めている。▼13面=武蔵野市で塀撤去

 対象となるのは、府立学校181校と、大阪市と堺市を除く各市町村の教育委員会が所管する公立の計1088校園、府内の私立校178校。建築基準法に基づく点検表をつくり、配布した。点検は通学路にある塀の高さや厚さに加え、ひびや傾き、ぐらつき、塀を補強する「控え壁」、基礎の有無など8項目を、各学校で目視で実施するよう要請している。

 問題が見つかった場合は府への報告とともに、学校の所在地の自治体の建築担当部局と相談するよう求めている。そのうえで、ブロック塀の所有者とも相談し、取り壊しや改修などを検討するという。

 文部科学省は事故を受けて、全国の小中高校などのブロック塀について緊急点検を要請した。

 女児が下敷きになったブロック塀の高さは、基礎部分(1・9メートル)と積み上げたブロック8段(1・6メートル)合わせて3・5メートル。地震で長さ40メートルにわたって倒壊した。建築基準法施行令で高さ1・2メートルを超す場合に必要とされている控え壁がなかったことや、基礎部分とブロック部分をつなぐ鉄筋の長さが短く、塀の上端部まで届いていなかったことも判明している。

 高槻市は事故後、違法な建築物と認めた。府警が業務上過失致死容疑で捜査している。 (渡辺元史)

 ■違法な塀見逃し、謝罪 小4死亡、市教委「問題ない」判断

 高槻市の寿栄(じゅえい)小学校のブロック塀が倒れ、4年生が亡くなった事故で、市教育委員会の樽井弘三(たるいひろみ)教育長が22日午前、記者会見した。3年前に学校側が外部から危険との指摘を受け市教委の職員らが点検したが「問題ない」と判断し、違反建築物であることを見逃していたことを明らかにし、謝罪した。

 樽井教育長によると、2015年11月2日、PTAと学校の共催で行われた講演会に講師として招いた防災アドバイザーが事故のあった塀の危険性を指摘。翌年2月25日に、市教委の建築の専門職員らが点検し、田中良美校長らが立ち会った。この専門職員は建築士の資格は持っていなかった。調査は目視と、音の変化で調べる打診棒による簡易点検で、壁の劣化度合いについてみた。ひび割れや傾きがなかったため、「問題ない」と判断し、その場で田中校長に伝えたという。点検した職員は、市教委に対して「当時、違法な建築物とは思わなかった」と説明しているという。

 市教委内では問題の指摘について情報が共有されていなかった。樽井教育長は「定期点検とは別で、認識が甘かった」と話し、「未然に事故を防ぐことができず痛恨の極み」と謝罪した。

 この事故については、田中校長は21日夜の会見で、15年度にブロック塀が外部の識者から危険との指摘があり、市教委に調査を依頼したことを明らかにしていた。田中校長は、市教委から安全だと報告され、「(地震が起きるまで)危険という認識がなかった」と話していた。

 大阪府の松井一郎知事は22日午前、記者団に「行政としてはチェックして法律に違反している壁を見抜けなかったというのは、もうあってはならん。検査態勢としてちょっといかがなものか」と述べた。

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 野田聖子総務相は22日の閣議後会見で、大阪北部地震で被災した大阪府の高槻、守口、枚方、茨木、箕面の5市に対し、9月交付分の普通交付税を来週に繰り上げて支給する、と発表した。週明けに正式に決定する。災害救助法が適用された5市は、迅速な復旧などに向け、繰り上げ交付を要望していた。野田氏は「被災自治体の財政運営に支障が生じないようしっかり対応する」と述べた。

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