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 地震でブロック塀が倒れ、人命が失われる事故は、これまでもたびたび繰り返されてきた。なぜ防げなかったのか。今度こそ対策を先送りせず、「人災」を断ち切らねばならない。

 大阪北部地震の発生から1週間が過ぎた。被災地の生活が落ち着きを取り戻していく一方で、さまざまな教訓が指摘されているが、なかでも2人が犠牲になったブロック塀の倒壊事故が注目されている。

 大阪府高槻市では、市立小学校に登校途中の9歳の女児が、学校プールの目隠し壁の下敷きになった。

 約40年前に設置され、事故時の高さは3・5メートル。当初から違法状態だったとみられ、1980年代初めに「高さは2・2メートルまで」「1・2メートルを超す場合は補強のための壁が必要」と規制が厳しくなっても放置された。

 市教委は今回の事故で初めて違法状態だと知ったという。3年に1度の法定点検で、委託業者が検査対象から外していたことも把握していなかった。3年前には防災の専門家が校長に危うさを指摘したが、市は職員による目視や打音の検査で「問題ない」と判断していた。

 市教委自身が認める通り、まさに人災と言うしかない。

 ブロック塀などの倒壊による死者は、18人が犠牲になった宮城県沖地震(1978年)のほか阪神・淡路(95年)、福岡沖(05年)、熊本(16年)の各地震でも生じた。特に宮城県沖地震は、ブロック塀に関する規制強化のきっかけになった。

 なぜ、全国で問題が共有されてこなかったのか。文部科学省は全国の学校に点検を求め、学校周辺や通学路を中心に調査が進んでいるが、違法や問題含みの塀が各地で見つかっている。

 塀の所有者は学校や自治体に限らない。大阪の地震で亡くなった80歳の男性は民家の塀に直撃された。危ない塀の撤去や改修を着実に進めるために、行政は広く目配りすべきだ。

 宮城県は、小学校の通学路にある危険なブロック塀を所有者に伝え、撤去などの助成制度を紹介している。02年に536件だった通知件数は、17年には88件に。助成の仕組みは今後各地に広がりそうだが、継続して対策を促す姿勢が大切だろう。

 ブロック塀以外にも、街なかに潜む危険は自販機や屋外の看板など多様だ。自治会ごとなど地域で情報を共有するために、専門家をまじえた調査を促す助成なども有効ではないか。

 地震はいつ、どこでおきてもおかしくない。大切な命を守るために一歩を踏み出したい。

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