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 地域の安全・安心の要であるはずの交番が襲われ、殺された警察官から奪われた拳銃が民間人の殺害に使われた。容疑者は近くの小学校で取り押さえられたが、さらに被害者が出ていてもおかしくない状況だった。

 小学校の児童と保護者、近隣の住民はもちろん、多くの人が衝撃を受けただろう。犯行の動機など事件の全容解明を進めつつ、再発防止策や浮かんだ課題への対応も急がねばならない。

 富山市で26日午後、元自衛官の男(21)が交番で警察官を刺し殺した。拳銃を使い、約100メートル先の小学校の正門付近で工事の警備員を射殺した。

 警察官が拳銃を奪われた事件は、13年以降で他に6件起きている。3件で銃が使われたが、警官以外の民間人が撃たれたのは極めて異例だ。

 交番の警察官は常に拳銃を携行しており、拳銃と腰ベルトをひもで結んでいる。05年の拳銃強奪事件を機にひもの材質が強化されたが、男は刃物でひもを切ったとみられる。

 警察庁は、拳銃入れを改良して本人以外は引き抜きにくくする計画について、メドとしてきた20年度から前倒しする考えだ。ひもの再強化を含めて装備面でさらに対策の余地がないか、検討を尽くしてほしい。

 今回の事件では、警察官と一緒にいた交番相談員が近くの店舗に駆け込み、110番通報につながった。退職した元警察官らが非常勤で務める相談員は「空き交番」対策として増員されており、昨年4月時点では全国で約6300人と15年間で3倍近くになった。緊急時の警察官との連携などを、ふだんの訓練を通じて確認しておきたい。

 男が侵入した小学校は、刃物を持った男が逃走中との警察からの連絡で児童の下校を見合わせ、校舎の戸締まりや体育館への避難を進めた。おおむね適切に対応できたようだが、男が拳銃を持っていることは校長に伝わっていなかった。

 17年前の大阪教育大付属池田小での児童殺傷事件の後、全国の学校が不審者侵入などに備えて危機管理マニュアルを作った。正確な情報共有のために改善すべき余地はないか、今回の経緯について検証が必要だ。

 男は交番を出てから小学校に着くまで、住宅街を歩き回っていたとみられる。学校だけでなく地域にどう情報を伝えるかも大きな課題である。

 交番は「KOBAN」として海外にも推奨されている。誰もが気軽に訪れる街の治安の拠点であり続けるよう、取り組みを重ねていきたい。

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