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 原発の使用済み燃料の再処理工場を、いかに安全に解体するか。国内で初めての難事業が間もなく始まる。

 原子力規制委員会が先日、日本原子力研究開発機構・東海再処理施設の廃止計画を了承した。1兆円の国費を投じ、70年かけて解体する。

 原子力機構は並行して、高速増殖原型炉もんじゅの廃炉を30年かけて進める。ともに長く険しい道のりだ。トラブルなく完遂できるよう、原子力業界の総力を結集しなければならない。

 東海再処理施設は81年に本格運転を始めて以来、原発10基分の使用済み燃料を再処理してきた。核燃料サイクルに欠かせないプルトニウムの取り出し技術を磨くためだ。東日本大震災で強化された新規制基準に適合させるのが難しく、4年前、施設の廃止が決まった。

 再処理工場の解体は、原発の廃炉よりはるかにやっかいだ。人が近寄れないほど激しく放射能に汚染された場所が広く、遠隔作業に頼らざるをえない。

 加えて東海の場合、放射能レベルの極めて高い廃液が固化されないまま残る。解体される時代がくることに思いがいたらなかったのか、多数の放射性廃棄物のドラム缶が貯蔵プールに乱雑に山積みされている。

 万が一、作業員の被曝(ひばく)や放射能漏れなどのトラブルが起きれば、70年はおろか、今世紀中に解体を終えられるかどうかも分からなくなる。未来の世代に負債を残さない、という強い覚悟をもって作業に臨むべきだ。

 気がかりなのは、原子力機構の「負の歴史」である。

 もんじゅのナトリウム漏れ、東海再処理施設アスファルト固化施設での爆発、大洗研究開発センターの作業員被曝……。トラブルが起きるたびに安全意識の希薄さや気の緩みが厳しく批判され、組織の体質を根本的に改めるよう再三にわたって求められてきた。同じ過ちを繰り返すことは許されない。

 原子力機構は今後、90近くある傘下の施設の約半数を廃止していく。所管する文部科学省は専門家の部会をつくり、作業を円滑に進める方策を探ってきた。今後も原子力機構まかせにせず、大学や企業など官民の幅広い経験と技術を結集するべく指導力を発揮してもらいたい。

 新たな施設を建設するのに比べ、使い終わった施設の解体で現場の士気を保つのは容易ではない。ただ、もんじゅや東海再処理施設の解体で得た技術は、来たるべき廃炉の時代に必ずや役に立つ。経験を継承していく意義は計り知れない。

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