[PR]

 サッカー・ワールドカップの日本代表の試合がすべて終わった。前評判を覆して決勝トーナメントに進み、格上のベルギーを追いつめたが、力尽きた。

 大会が始まる2カ月前、チームは方向性を見失い、異例の監督交代に追い込まれた。再出発は難しく思えたが、態勢を立て直し、本番では選手とチームの特長をいかしたプレーを展開。観客に強い印象を残した。

 日本選手よりひと回りもふた回りも大きく、かつ速さを備えたプレーヤーが組織的に動く。それが現代サッカーだ。代表チームはこの体格面での劣勢を、小回りのきく俊敏さに変えて対抗した。相手の動きや試合の流れに応じてプレーを切り替える柔軟さに、進化が見えた。

 限られた期間でそれが実践できたのは、逆境のなかで一体感を築きあげた選手の力と、対戦相手の戦力や情勢を分析する西野朗監督の手腕だろう。1次リーグ1勝1分けで臨んだ対ポーランド戦では、厳しい試合日程による疲労を勘案しながら、先発選手を大幅に入れかえて主力を休ませることもした。

 論議を呼んだのは、この試合の途中で勝ち点をとるのをあきらめ、警告や退場数の差でリーグ戦突破を狙った判断だった。最後の約10分間、攻撃せずに自軍でパス回しを続けた姿は国内外の批判を受け、監督は「自分の心情としては不本意」と苦渋の決断だったことを明かした。

 子どもに「代表を見習いなさい」と言えない、サッカーのだいご味をそぐプレーだった。結果としてこの賭けに勝ち、ベスト16をたぐり寄せたとはいえ、攻め切る力が残っていなかったがゆえの選択だった。ベルギー戦の残り十数秒で決勝ゴールを奪われた場面とあわせ、日本の課題が映し出された。

 試合や勝ち負けを離れたところでも、反省すべき点は少なくない。なかでも監督の直前交代はファンを驚かせた。

 日本協会は解任の理由として「選手とのコミュニケーション不足」をあげた。だが、ハリルホジッチ前監督の激しい反発を見ると、協会自身は前監督との意思疎通にどれだけ意を砕いてきたのか、共通の目標と認識をもって歩んできたのか、疑問なしとしない。

 世代交代も大きな宿題だ。今回、けがなどでメンバー落ちの瀬戸際まで追い込まれたベテランらの奮起が、チームを押し上げ、ひとつの物語を紡いだ。しかしその分、若手の台頭が見えず、将来に不安が残った。日本サッカーの発展には、新しい力の発掘と育成が不可欠だ。

こんなニュースも