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 米国が安全保障を理由に、鉄鋼・アルミニウム製品への高関税を導入したのを引き金に、貿易摩擦の拡大が止まらない。欧州連合(EU)やメキシコ、カナダなどが対抗措置として、米国製品に報復関税の適用を始めた。

 米国は6日には、知的財産侵害を理由に、中国製品に対する高関税措置も発動する予定だ。中国も報復関税で対抗すると表明している。

 このまま制裁と報復の連鎖が続けば、主要国が築いてきた自由貿易体制が危機に陥ってしまう。歯止めをかける方策を探らねばならない。

 世界が注視するのは、米国がこの先、輸入車と自動車部品の関税も大幅に引き上げるかどうかだ。鉄鋼と同じく、米政府は国家安全保障を脅かしているかどうか調査中で、9月には発動するとの見方も出ている。

 トランプ政権の方針に対しては、米国の与党議員や産業界も「米国の製造業者と消費者を傷つける」などと反発を強めている。実際、欧州の報復措置の標的になった高級バイクメーカーの米ハーレーダビッドソンは、EU向けの生産を米国外に移すと発表した。

 貿易戦争に勝者はいないことをトランプ大統領は認識し、保護主義を改めるべきだ。

 日本は今のところ、鉄・アルミでは対抗措置を取っていない。しかし自動車は日本の対米輸出の3割を占める。国際分業が進む時代だけに、日本企業の海外拠点や他の国々への影響も大きい。米国の出方を見極めながら、世界貿易機関(WTO)に提訴するなどルールにのっとって強い姿勢を示すべきだ。

 同時に、多国間の貿易自由化の枠組みを広げていく努力も欠かせない。

 米国を除く11カ国による環太平洋経済連携協定(TPP11)は日本での国内手続きがほぼ完了し、年明けにも発効する見通しだ。来週には、日EUの経済連携協定(EPA)にも署名する。

 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)についても、日本など16カ国は年内の大筋合意を目指すことで一致した。できるだけ高い水準で合意し、ASEAN諸国に中国、韓国、インドなども参加する巨大な自由貿易圏を実現したい。

 自由貿易の枠組みを広げることは、参加する国々に利益をもたらすだけではない。その輪に加わらないことの不利益を、いずれ米国も気づくことになる。日本は主要国と協力し、米国に変化を促さねばならない。

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