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 地方の行財政制度を論じる首相の諮問機関、地方制度調査会がきょう、約2年ぶりに設置される。自治の将来像を描く丁寧な議論を期待する。

 今回のテーマは、人口が減る社会への自治体の対応だ。

 総務省の研究会がまとめた政策提言「2040年の自治体行政のあり方」と「町村議会のあり方」がたたき台になる。

 40年ころは高齢者人口のピークで、働き手世代が今よりも約1600万人減る。道路や橋、上下水道の老朽化もすすむ。福祉や教育などの住民サービスを、従来のように市町村単位ですべて賄うのは難しくなる。

 このため、自治体職員の半減をはじめ、複数の自治体が連携して「圏域」単位で行政をすすめられるようにする法律の制定などを提言している。

 「縮む社会」への対応は待ったなしだが、注文が二つある。

 ひとつは、東京一極集中の是正など他の政策との整合性をつけること。

 二つめは、必要以上に危機感をあおり、全国画一的な解決策を押しつけてはならないということだ。

 自治体の境界線をまたぐ「圏域」での都市計画は難しい。公共施設や学校の配置などを人口や産業基盤の大小で判断してゆけば、中核的な自治体に集約されかねない。「強者の論理」が優先され、切り捨てられる地域に不満がたまるだけという展開は避けねばならない。

 政府は約10年前に「平成の大合併」から広域連携へと方針を転換した。徐々にではあるが、「圏域」内での居住地や商業地域の機能の振り分けや、県が市町村と協調して公立病院を再編した例も生まれている。

 政府には、こうした先進例をもっと広げるには、制度的な支えが必要だという危機意識が強いようだ。だが、広域連携は自治体間の協議の成果であって、「国主導」で簡単にすすむ話ではない。

 地方議会改革でも、前のめりな国の姿勢が気になる。総務省の研究会は議員3~5人の「集中専門型」と兼業中心の「多数参画型」を考案。現行方式も含めた中からの選択を迫った。

 しかし、議員報酬や定数などは、もともと自治体の自由裁量だ。それらに口をはさむ姿勢は中央集権的というしかない。

 地域には、それぞれの歴史も事情もある。抱える課題も多様で、打開策は現場ごとに違う場合が多い。

 地制調には、こうした現実に目を向け、現場の知恵と工夫をくみ上げる姿勢を求める。

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