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 来年の参院選に向け、「一票の格差」の是正などをめざす公職選挙法改正案の審議が、参院の特別委員会で始まった。

 自民党が提出した「定数6増案」は、合区した選挙区の現職議員の議席を確保するために、比例区に特定枠を設ける。これほど露骨な党利党略を認めるわけにはゆかない。

 民主主義の舞台を整える選挙制度は、与野党の幅広い合意で決めるのが基本だ。たいした議論もせずに、数の力で押し通すのでは後世に禍根を残す。

 各党も対案を出している。公明党と日本維新の会は全国11ブロックの大選挙区制。維新は同時に定数を24減らすとした。国民民主党は抜本改革へのつなぎとして、選挙区2増比例区2減案を示した。議論の素材はそろいつつある。

 周知期間を考えれば、今国会中に改正するのにこしたことはない。だが、拙速はだめだ。国会閉会後も議論を続け、各党の案を比較検討し、秋の臨時国会で結論を出せばいい。

 2001年参院選での「定数10減、非拘束名簿式導入」は大混乱を経て、前年10月に決まった。13年参院選の「4増4減」は前年11月だった。時間がないことを口実に、強引な採決を許してはいけない。

 「10増10減」を定めた前回15年の改正法の付則には、19年の参院選までに「制度の抜本的な見直し」を検討し、「必ず結論を得る」とある。

 それなのに、その後の自民党は憲法改正による合区解消を唱え、与野党の合意形成にきちんと取り組んでこなかった。

 伊達忠一参院議長も調整の任を放棄し、各党にそれぞれの案の提出を求めただけだ。無責任きわまりない。

 確かに、各党の隔たりは大きく、野党が求めた「議長あっせん案」は難しかったかもしれない。しかし、86年の衆院の定数是正を、坂田道太衆院議長が「8増7減」の調停案でまとめた例もある。参院では不調に終わったものの、00年に斎藤十朗議長があっせんに乗り出し、合意づくりに努めた。

 伊達氏の無為無策ぶりは、三権の長の権威を著しく失墜させている。

 いまからでも遅くはない。

 伊達氏は仲介役として、抜本改革に向けた与野党の協議を促すべきだ。

 自民党のご都合主義による制度で選ばれた議員が、国の針路や憲法改正を語っても説得力に欠ける。憲法が求める「投票価値の平等」の実現へ、与野党は真剣な議論を尽くすべきだ。

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