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 核兵器の開発、保有、使用などを、幅広く法的に禁じる核兵器禁止条約が国連で採択されて、7日で1年がすぎた。

 米ロ両国を中心とする核保有国による削減が遅々として進まないなかで、国連加盟国の約3分の2が賛同した核禁条約を、どう核廃絶につなげていくか。

 唯一の戦争被爆国である日本こそが先頭に立って考えるべきテーマだろう。だが日本政府は米国の「核の傘」に守られている現実を前に、「保有国と非保有国の橋渡しをする」と言いながら、核禁条約に距離を置くばかりだ。

 核兵器の非人道性を訴えた広島と長崎の被爆者の声が、条約に大きな影響を与えたことを忘れてはならない。オーストリアなど条約を推進した比較的小さな国々を支えたのは、世界各地のNGOだった。日本からも、核廃絶を求める声をさまざまな形で発していきたい。

 注目されるのは地方議会の動きだ。核禁条約に加わるよう政府に求める趣旨の意見書を採択したのは320余り、全自治体の約2割になった。

 新潟県上越市議会は6月、核禁条約の調印を求める意見書を全会一致で可決した。議会は、請願を出した団体の一つの代表で、16歳の時に広島で被爆した女性(89)の話を聞いた。

 議員からは「切実な内容だった」「インパクトは大きかった」との感想が漏れる。保守系議員の一人は「被爆者の思いや怒りをしっかりととらえ、被爆国として、核廃止にベストを尽くしてほしいと政府に伝えなければ。待つのではなく、重い腰を上げてほしい」と語る。

 北海道知内(しりうち)町の議会は、昨年12月と今年6月、意見書を全会一致で可決した。2度決議したのは国の動きが鈍いからだ。町の人口は4千人余り。「小さくとも黙っているわけにはいかない」と女性議員が主導した。

 両議会と同様に全会一致の例が少なくない。「核なき世界」への思いは政治的な立場を超えることの表れだろう。

 市民団体も、各地で取り組みを続けている。核禁条約への参加を各国に促す署名活動のほか、条約採択日が七夕と重なったことを受けて、短冊に核廃絶への願いを記してもらうイベントを開くなど、多様だ。

 条約の発効には50カ国の批准が必要だが、まだ11カ国にとどまる。核保有国が「圧力」をかけているとの証言もある。

 動こうとしない被爆国の政府に対し、一人ひとりが粘り強く声をあげていく。それが条約への後押しにもなるはずだ。

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