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 6月に実現した米朝首脳会談の意義は何だったか。その評価を定めるのは、まさに今始まった実務協議の行方であろう。

 トランプ大統領と金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長が約束しあった高官協議が、初めて平壌で開かれた。首脳会談から3週間超もの時間を要したことが、交渉の難しさを示唆している。

 「朝鮮半島の永続的で安定的な平和体制」づくりは両首脳が国際社会に発した公約である。緒に就いた高官協議から着実な合意を導き出すよう、万全の努力を注いでもらいたい。

 平壌での協議後、日本を訪ねたポンペオ米国務長官は日韓の外相に結果を説明した。北朝鮮と「生産的な対話」ができたと会見で語ったが、今回も顕著な進展は築けなかったようだ。

 6月の共同声明は、北朝鮮の「完全な非核化」や「安全の保証」に言及したが、時期や行動は示せなかった。本来は事前に詰めるべき工程表づくりを後回しにした異例の会談だった。

 その後、北朝鮮は核とミサイルの実験の凍結を続けており、米側は韓国との軍事演習の中止を発表した。米朝の対話が続く限り、軍事衝突のおそれが遠のいたのは確かだ。

 しかし、それでも現状は融和ムードの延長にすぎず、米朝間の緊張は再燃しうる。非核化と安定的な平和を実現するには、綿密な工程表が欠かせない。

 米朝は今回、作業部会づくりで合意したという。だが、北朝鮮メディアは「強盗さながらの非核化要求だけを持ち出した」と反発しており、さっそく意見が対立したようだ。

 トランプ政権は安易な妥協をしてはならない。共同声明で非核化を誓った金正恩氏の言い逃れを許さず、行動計画の合意を迫るべきだ。

 ポンペオ氏は見返りとして、北朝鮮の安全を保証する措置もとる構えだ。核開発の理由とされる敵対関係を見直すには、朝鮮戦争の公式な終結も論議されるのは自然な流れだろう。

 ただし、そのためには核をめぐる軍事施設や兵器・物質などの全面開示と査察の受け入れへの道筋を描かねばならない。

 トランプ氏は秋の中間選挙や2年後の大統領選を意識し、成果を急いでいるともいわれる。そんな短期的な思惑で功を焦れば、長い時間軸がとれる独裁国の思うつぼになりかねない。

 日本と韓国は、米朝対話の継続を支えつつ、トランプ政権が健全な朝鮮半島政策を保つよう注視し、助言する必要がある。その意味でも日米韓はこれまで以上の結束が求められている。

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