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 戸籍上は男性だが、自ら認識する性(心の性)が女性であるトランスジェンダーの学生を、再来年度から受け入れるとお茶の水女子大学が表明した。

 日本女子大など他の大学も検討を進めている。多様な性のあり方を認め、学びの場を保障する動きが広がるのは意義深い。

 文部科学省は15年、性的少数者の児童・生徒への「きめ細かな対応」を求める通知を全国の小中高校に出した。この問題は教科書でも取りあげられるようになり、千葉県柏市の市立中が性別に関係なく着用できる制服に切りかえるなど、目に見える変化が出始めている。

 自らを女性と認識する人が、女性として教育を受けたいと願うのは当然だ。女子大が門戸を開くのも時代の流れに沿うものといえる。むろん入学を許可して終わりではない。講義や日常生活、スポーツ、就職活動など様々な場面でサポートが必要になる。当事者の声に耳を傾け、準備を整えてほしい。

 日本学術会議の分科会が昨年まとめた提言「性的マイノリティの権利保障をめざして」でも、教育機関に対し、通称名の使用やトイレ、体育・健康診断での配慮、カウンセリング体制の充実などを要請している。

 進路指導をする高校の側も、正しい知識が求められる。文科省など関係機関は連携を密にして、切れ目のない支援体制を築いていかなければならない。

 性的少数者が自分らしく生きられる社会づくりは、まだ緒に就いたばかりだ。

 文科省の通知と同じ年、東京都渋谷区は同性カップルに、結婚に準じた関係を認める「同性パートナーシップ制度」をつくった。福岡市、大阪市などが続き、さらに準備している自治体もある。だが諸外国では法律で同性婚を認めるなど、より強い形で権利を保護している。主要7カ国でそうした法整備をしていないのは日本だけだ。

 この国会では、40年ぶりに相続制度を大きく見直す改正民法が成立した。長年連れ添った配偶者や介護に貢献した人に、これまでよりも多くの財産が残されることになったが、事実婚や同性のパートナーはその対象ではない。政府・国会には大きな宿題が残された。

 性の認識や家族の姿に「正解」はない。多様な考えや生き方が現にあり、それを認め合うことが、人権が守られ、誰もが生きやすい社会につながる。

 既存の制度や慣行はその妨げになってはいないか。常に意識を持って点検し、着実に見直していくことが大切だ。

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