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 日本経済の屋台骨である自動車産業で、またも不正が判明した。根絶に向け全力を挙げる必要がある。

 日産自動車で、排ガスや燃費の測定をめぐる新たな不正が見つかった。出荷前の抜き取り検査のときに、データを書き換えるといった事例が、国内5工場で横行していた。検査した車の半数以上に及ぶという。

 日産は昨年9月に完成車の無資格検査が発覚し、国土交通省による業務改善指示を受けた。社内調査で、長期にわたる大規模な不正が判明し、西川(さいかわ)広人社長は11月の会見で「信頼を裏切ることになった」と謝罪した。

 同じ自動車メーカーのスバルでも無資格検査に続き、今年3月に排ガスと燃費の検査をめぐる今回同様の不正が発覚し、社長交代につながった。

 ところが日産のデータ不正はそうした事態の最中も絶えることなく、先月まで続いていたという。驚かざるをえない。

 日産でものづくりのトップを務める山内康裕執行役員は会見で、「コンプライアンス意識が希薄だった」「職務の実態把握が不完全だった」と述べた。いずれも無資格検査発覚のときに明らかになっていた体質だ。昨秋から改善が進まなかったのは問題の根深さを示しており、深刻に受け止める必要がある。

 問われるのは経営責任のあり方だ。無資格検査について、経営陣は報酬の一部を自主返上し、担当副社長を更迭したが、西川社長は続投した。今回の不正の会見には、西川氏は出席せず、山内氏が原因究明や再発防止の仕組みづくりが経営陣の責任だと述べただけだった。

 企業体質を改めて会社全体を正しい方向に向けるには、何より経営トップが厳しく身を律する必要があるのではないか。

 日産は外部の法律事務所に調査を依頼した。不正がいつ始まり、なぜほとんどの工場で常態化したのかなど、詳細を明らかにする必要がある。

 山内氏は「推測」とことわったうえで「社内の基準値は(国の)保安基準に対して厳しく設定しているので、書き換えても法律に抵触しないと検査員が思ったのではないか」と述べた。結果的にカタログ上の性能は満たしていたという。

 社内基準とはいえ、ルールを守らぬ姿勢がはびこれば、大きな違反や事故につながりかねない。一方で、ルールを定める際には、その必要性が十分に理解できるものでなければならない。ルールの実効性を高めるには何をすべきか、再発防止に向けて十分検討してほしい。

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