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 各省からの予算要求のルールとなる概算要求基準が決まり、来年度予算の編成作業が12月の決定に向けて動き出した。

 6月に新たな財政健全化目標を定めてから、初めて組む予算だ。借金に頼らないで政策経費をまかなえるかを示す基礎的財政収支(PB)を2025年度までに黒字にする目標は、バブル期以来の高成長が続くと想定しても現状では達成できない、と内閣府は試算している。

 目標達成に向け、これまで以上に歳出を引き締められるのか。政権の姿勢が問われる。

 ところが概算要求基準には、歳出全体の拡大に歯止めをかける上限を設けなかった。年末までの議論で、ばらまきや効率の悪い歳出を削り、受益と負担のバランスを踏まえて真に必要な政策に、財源を集中できるのか。不安が残る。

 歳出の約3分の1を占める社会保障費は、歳出増加分をいくらに抑えるかという目安の数値を、過去3年のようには設定しなかった。制度改正も含め、取り組むべきことを精査しなければならない。

 既存の予算を削り、削減分の3倍まで要求できる「新しい日本のための優先課題推進枠」には、人づくりなど成長戦略に関する政策を盛り込める。

 こうした特別枠は、政権の目玉となる政策を推進する目的で毎年設けられる。しかし実際には、削ったはずの政策が看板を書き換えて紛れ込むことが繰り返されてきた。安倍首相は「メリハリの効いた予算とするよう、政府をあげて取り組む」と語るが、実行できるのか。

 歳出膨張の要因はまだある。

 来年10月には消費税率の10%への引き上げが予定されている。増税による需要落ち込みへの対策は、概算要求とは別枠で議論することになった。早くも数兆円といった規模も取りざたされている。経済の変動に柔軟に対応することは必要だが、金額ありきは慎むべきだ。

 骨太の方針には「防衛力を大幅に強化する」と記された。防衛費の増額要求も予想される。

 いくら税収がバブル期並みの60兆円をうかがう水準に伸びても、歳出拡大圧力を抑えなければ財政健全化はおぼつかない。

 18年度の国の予算の姿を、ほぼ同じ規模の税収があった91年度と比べると、社会保障費は2・7倍の33兆円に、借金の返済費である国債費は1・45倍の23・3兆円に増えた。その他の政策に使える予算は極めて限られている。そのことを自覚し、各省とも事業の優先順位を吟味して要求しなければならない。

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