[PR]

 西日本豪雨では、自治体から避難情報が出ているなか、多くの人が逃げ遅れ、被災した。

 「あっという間に家の中に水がたまった」「どこへ逃げても安全な場所はなかった」

 危うく助かった人たちからはこうした声が聞かれる。

 20人以上の死者・行方不明者が出た広島県呉市では、被災地の多くが土砂災害警戒区域等の指定を受けていた。大規模冠水で50人が死亡した岡山県倉敷市真備町の一帯は、過去にも洪水があり、ハザードマップで浸水域に色づけされていた。

 そうした地域でも、なぜ避難が遅れてしまったのか。いまは被災者の支援と救出に全力をあげる段階だが、避難勧告や指示を迅速に出せたか、それが素早く正確に伝わっていたかを検証し、教訓を導くことも、各自治体の重い課題である。

 とりわけお年寄りや体の不自由な人への伝達は難しい。耳が遠かったり、携帯電話を持っていなかったりする人もいる。サイレンや行政無線、ラジオ速報など多様な手段を用意し、連絡を尽くす工夫が必要だ。

 避難情報の出し方について、政府は自治体向けガイドラインを見直してきた。14年の広島土砂災害の後、発表基準を具体化して「早めの発表」を促した。16年には岩手県岩泉町の水害で高齢者施設の入居者が大勢亡くなったのを受け、「避難準備情報」の名称を「避難準備 高齢者等避難開始」に変更した。

 切迫感が的確に伝わっていれば、今回も助かった命があったのではないか。そんな視点から改めて全体を見直し、より効果的な方法を探ることが、今後の減災につながる。

 情報を受け取る住民の側も、日ごろの心構えが問われる。国の中央防災会議は、行政情報だけに頼らず「自発的に判断し避難する」よう求めている。

 逃げる先についても同様だ。多くの場合、学校や高層のしっかりした建物が緊急避難場所に指定されている。しかし自宅から遠かったり、途中の安全が確保できなかったりする場合もある。もっと近くに安全で身を寄せられる場所はないか。自分で考え、周囲の人たちとも話し合っておくことが大切だ。

 これから台風シーズンを迎える。最低限、自治体のホームページなどでハザードマップを見て、住んでいるところがどんな場所か、確認しておきたい。

 近年激しさを増す雨の降り方を、国土交通省は「新たなステージ」と呼ぶ。これまでの常識が通用しなくなっていることを認識し、備える必要がある。

こんなニュースも