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 サッカーのW杯ロシア大会はフランスの2度目の優勝で幕を閉じた。総じて実力が伯仲し、見応えのある試合が多かった。

 関心を集めたひとつに、初めて導入された「ビデオ・アシスタント・レフェリー」がある。ペナルティーキック(PK)や退場処分など、試合を左右する判定で誤審が疑われる場合に、複数のカメラで撮影した映像を別室で点検し、ピッチ上の審判に伝える仕組みだ。

 1次リーグだけで14件の判定が覆り、PK数は過去最多になった。シュートがゴールラインを割ったかを確認する「ゴールラインテクノロジー」(前回ブラジル大会から実施)とあわせ、新しい技術が、多くの人が納得する判定を増やした。完璧とはいえないが、まずは成功と評価できるだろう。

 今後も、試合の流れを断ち切らない工夫と、公平・迅速な運用を図る必要がある。ただし、機器はあくまでも審判の補助にとどまることを忘れてはならない。選手と上手にコミュニケーションをとりながら、滑らかにゲームを進める。そんな優秀な審判の育成に、これまで以上に力を注いでもらいたい。

 今回は、国際サッカー連盟(FIFA)がブラッター前会長らによる不正な金の授受や汚職などで大きく揺れた後に開かれた、最初の大会だった。

 試合に先立ち、次々回26年大会の開催地選びがあったが、従来の理事だけによる投票から、全加盟国・地域が一票を投じる透明度の高いやり方に変更。その後も大会を通じて、大きなトラブルや不祥事はなかった。

 FIFAにとっては一安心だろう。だがこれで信頼を取り戻し、W杯をめぐる不安も一掃されたというのはまだ早い。

 気になるのはその26年以降の大会運営だ。出場枠が32から48に増え、1次リーグ16組の各3チームから2チームが決勝トーナメントに進む方式に変わる。収入や競技の普及の観点からは有意義だが、試合間隔は不公平になる。トーナメント進出の条件など、多くの人が了解できるルール作りが求められる。

 さらに、試合数が増えれば、準備しなければならないスタジアムの数や経費も増える。開催国の負担はずっと重くなり、引き受け手不足に悩む五輪の二の舞いにもなりかねない。

 FIFAは他にも、クラブW杯の拡充や、代表チームが争う別の大会の創設などを検討しているという。野放図な肥大化路線は、選手らにかかる負荷を増し、サッカーの魅力をかえって損なう。慎重な検討が必要だ。

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