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 政治家として、閣僚として、大いに疑問を感じる振る舞いである。

 野田聖子総務相の事務所が今年1月、仮想通貨の販売をめぐって金融庁の調査を受けていた業者を同席させたうえで、同庁の担当者に庁としてのスタンスなどを「説明」させていた。

 野田氏は、業者が制度や規制の詳細を知りたがっていたので「一般的な説明をいただいた」だけだ、と述べた。それなら業者が自ら役所に問い合わせればいい話だ。なぜ野田氏の秘書が乗りだす必要があるのか。

 国会は昨年から森友・加計問題で揺れ続けている。有力政治家に近い者が優遇されているのではないか。政治家の意に沿うように官僚が動いているのではないか。疑念が渦巻き、行政への信頼をおとしめている。

 そのさなかに現職閣僚の事務所が、口利きや役所への圧力を疑われるような行動をする。懲りない政権と言うほかない。

 疑問はそれだけではない。

 この「説明」「同席」をめぐって、朝日新聞が金融庁に情報公開請求したことが、開示決定前に野田氏側に伝わり、さらにその事実を、野田氏が複数のメディアとの懇談の場で話題にしていたこともわかった。

 2年前、地方議員の政務活動費の不正受給に関連して、公開請求をした人物の情報が、議員側に伝わっていたことが社会問題になった。そんな漏洩(ろうえい)がまかり通れば、開示請求の萎縮を生み、制度そのものが機能しなくなるおそれがあるからだ。全国の自治体に注意を促したのは、ほかでもない、情報公開制度を所管する総務省である。

 今回、請求者とそれを受けた官庁しか知らないはずのことを耳にしたとき、野田氏は総務相としておかしいと思い、速やかに調査を指示するべきだった。

 ところがきのうの会見で野田氏は、「いろいろと話の端々の中で、ふと出てきた」「そういうことが起きるかもね、みたいな話」などと、あいまいな物言いに終始した。自覚に欠けることはなはだしい。

 野田氏はかねて自民党総裁選に立候補し、首相をめざすと公言してきた。そうであるならば、森友・加計問題に真摯(しんし)に向きあおうとしない現職首相との違いを見せてもらいたい。

 前財務次官のセクハラ疑惑が持ちあがった際、野田氏は直ちに安倍首相らに「事実であればアウトですからよろしく」との趣旨のメールを送ったという。先月の日本記者クラブの会見で明らかにした。自身についても歯切れのいい説明を求める。

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