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 両親からまともな食事も与えられず亡くなった東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5)。痛ましい虐待死を繰り返さぬために何をすべきか。政府が緊急対策をまとめた。スピード感をもって取り組まねばならない。

 対策の柱は、児童相談所(児相)で虐待の対応にあたる児童福祉司の増員だ。急増する虐待件数に人手が追いつかない現状を改めるため、今の約3200人から22年度までに約5200人に増やす。

 絵に描いた餅に終わらせてはならない。何より、児相の体制強化には裏付けとなる予算が必要だ。安定的な財源を確保し、着実に進めるべきだ。

 同時に、専門性を高める取り組みも欠かせない。過去の事件の検証から教訓を学ぶなど、研修内容も工夫し、実践的な対応力の向上を目指してほしい。

 今回の事件では、一家が香川県から東京都に転居した際に、児相間で虐待の危険性などの情報が適切に共有されなかった。その反省から、今後は、緊急性が高い事案は対面で引き継ぐよう指針を見直す。

 市町村に対して9月末までに、保育所、幼稚園に通っていない子どもや乳幼児健診を受けていない子どもを把握し、状況の確認を求める。結愛ちゃんが東京では幼稚園などに通わず、第三者の目が届かない環境だったことを踏まえた対応だ。

 家庭訪問で子どもに会えず、安全を確認出来ない場合は、立ち入り調査を行うことを徹底するという。

 子どもの安全確保を最優先に、児相は一時保護をためらうなと、これまでも繰り返し言われてきた。しかし児相は家族に寄り添い支援する役割も担い、家族との関係悪化を恐れて子どもを引き離すことに慎重になりがちとも指摘されている。

 2年前の児童福祉法改正でも児相の役割、あり方の見直しは今後の検討課題とされた。制度面での見直しの議論も、急ぐ必要がある。

 児相が比較的深刻なケースの対応に専念できるようにするには、市町村の相談窓口との役割分担も重要だ。市町村の体制も強化が求められる。

 学校や医療機関、警察や法律の専門家などとの連携も密にしなければならない。児童養護施設や里親など保護された子どもの受け入れ先の整備も必要だ。子育てに悩み孤立する親を、必要な支援につなげる取り組みも、虐待を防ぐ効果がある。

 特効薬はない。悲劇をなくすため、総がかりで手立てを講じたい。

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