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 地域別の最低賃金の今年度の改定の目安が決まった。全国の加重平均で時給848円から3%、26円引き上げる。時給で示すようになった02年度以降で最大の引き上げ額で、目安通り実施されれば全国平均の時給は874円になる。

 「年3%程度ずつ引き上げて、時給1千円を目指す」という安倍政権の方針に沿った、3年続けての3%台での決着だ。今後、この目安を参考に、各都道府県の審議会で実際の引き上げ額が決まり、秋以降に改定される。

 大事なことは、これが着実に実施されるようにすることだ。人手不足感が強く、賃金も上昇傾向にある今は好機だ。この機会を逃さず、底上げの歩みを加速させたい。

 最低賃金が高い東京や神奈川は、今回の目安通りに引き上げが実施されると時給は980円台になり、このペースが続けば来年度にも政府目標の1千円を超える。

 一方で、最も低い高知や沖縄など8県は760円にとどまり、800円を下回る地域は19県にのぼる。1日8時間、月20日働いても月収13万円に満たない水準だ。

 「3%の引き上げ」を達成したと言っても、生活を支えるのに十分とは言えない最低賃金の地域はなお残ったままだ。労働側は、まず時給800円以下をなくすことが急務だと求めてきた。こうした地域の底上げも急がねばならない。

 もちろん、経営が厳しい中小企業への目配りは必要だ。付加価値の高いサービスやもの作りを後押ししたり、大企業と下請けの取引条件を改善したりするなど、中小企業が賃上げできる環境を整えることが引き続き重要だ。

 他方、この間の最低賃金引き上げのもとでも、失業率は低下し、倒産件数も減っているという。引き上げが雇用情勢に与える影響を検証しながら、底上げの取り組みもしっかり進めてほしい。

 「非正規雇用労働者の処遇改善が引き続き社会的に求められていることを特に重視する必要がある」。最低賃金の引き上げで議論を取りまとめた公益委員の見解だ。

 非正規雇用は今や働く人の約4割にのぼる。パートで働く人たちの中には、家計の補助ではなく、生計の担い手となっている人も少なくない。

 その人たちが、普通に働けば安定した生活をできるようにする。それが、最低賃金見直しの原点だ。

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