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 通常国会が終わったが、大きな議論が残っている。日本の防衛力整備のあり方だ。

 今年は節目の年である。

 政府はこの年末、向こう10年間の防衛力のあり方を示す防衛計画の大綱と、5年間で進める中期防衛力整備計画の改定を予定している。

 安全保障関連法の施行後、政府が防衛の全体像を組み立てる機会だ。米朝対話などで東アジアの安全保障環境が変化しつつあるなか、日本の平和と安全をどう守っていくのか、徹底的な議論が求められる。

 当面の焦点は、23年度の運用開始を目指す陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」だろう。

 政府は秋田、山口両県への配備を目指すが、地元は反発しており、地質調査などを行う業者の選定手続きが先送りされた。2基で計2千億円とされていた導入費が、5千億円超に跳ね上がるとの見方も出ている。費用対効果の面からも、導入の是非を再考すべきだ。

 最大の問題は、安倍政権が空母や長距離巡航ミサイルといった、専守防衛に反する兵器の導入を目指していることだ。

 離島防衛などを理由に挙げているが、自民党が求める敵基地攻撃能力につながる。本土から遠く離れた地域で軍事力を行使できる「戦力投射能力」の保有は、戦後日本の抑制的な防衛政策からの明らかな逸脱であり、看過できない。

 こうした転換は、防衛費を大幅に拡大させる。

 安倍政権になって防衛費は6年連続で増え続け、今年度予算は過去最大の5兆1911億円にのぼる。8月末に予定される来年度予算案の概算要求は一層膨らむ見通しだ。

 自民党が5月にまとめた提言でも、防衛費の拡大を抑えてきた対GDP(国内総生産)比1%の突破を求め、2%を目標とする北大西洋条約機構(NATO)の例を「参考」とした。10兆円規模に防衛費を倍増しようという考えである。

 財政の制約を無視し、軍拡が軍拡を招く負の影響への考慮もない。極めて無責任な姿勢と言わざるをえない。

 緊張緩和のための近隣外交に力を尽くす。国力の限界を踏まえ、幅広い国民の理解を得ながら、適切な防衛力の姿を描いていく。遠回りなようだが、それが現実的な道だろう。

 集団的自衛権の行使に道を開いた安倍政権が、防衛費の大幅拡大と専守防衛に反する兵器の導入で、平和国家のさらなる変質をはかることは許されない。

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