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 女性の社会進出の道を、こともあろうに教育に携わる者が、不正な手段を使って閉ざす。事実であれば許しがたい行いだ。

 東京医科大が、入試で女子の得点を一律に減らし、男子の合格者が7割以上になるように操作していた疑いが浮かんだ。同医大の関係者が認めた。

 実際、今春の合格者は8割が男子だった。入試の募集要項に男女比に関する記載はない。このようなあからさまな差別が、いまの時代にありうるのかと、驚きを禁じえない。

 文部科学省が定める大学の設置基準は、入試を公正・妥当な方法で行うように規定する。また、大学が定期的に受けなければならない第三者機関の評価でも、選抜の基本方針の明示などが基準に盛りこまれている。大学の存立をゆるがす不祥事と認識しなければならない。

 東京医大をめぐっては、文科省幹部から便宜を受けた見返りに息子を合格させたとして、前理事長らが贈賄の罪で起訴されたばかりだ。恣意(しい)的な合否判定が他にもなかったか、文科省は大学に対し、調査と報告を求めている。役所自身が疑惑の渦中にある「当事者」だ。あいまいな処理は許されない。

 女子受験生の点数操作は遅くとも2010年ごろから続いていたとみられる。いったい何人が不当に不合格にされたのか。どのように謝罪し、救済の措置をとるのか。大学は早急に考えを示す必要がある。

 大学関係者は「女性は出産や子育てを機に、医師をやめるケースが多い」として、系列病院などの要員不足を防ぐための「暗黙の了解」があったと話している。教育機関としての使命を放棄した、あまりに身勝手な理屈と言うほかない。

 女性医師の休職や離職が多いのは事実だ。だがそれは、他の多くの職場と同じく、家庭や子どもを持ちながら仕事を続けられる環境が、医療現場に整っていないためだ。厚生労働省の検討会などでも整備の必要性がかねて指摘され、医療界全体の課題になっている。

 その解決に向け先頭に立ち、意識改革も図るのが、医療、研究、教育を担う医大の大きな役割ではないか。

 政府の男女共同参画推進本部は08年、女性の進出が遅れている分野の筆頭に医師を挙げた。ところが、国家試験の合格者に占める女性の割合は3割強で、この間ほとんど変化がない。

 この「ガラスの天井」を生んでいるものは何か。今回の疑惑の発覚を機に、医療界全体で検証してもらいたい。

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