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 プルトニウム保有量の削減に初めて踏み込んだとはいえ、実効性に乏しいといわざるをえない。内閣府の原子力委員会が15年ぶりに改定したプルトニウム利用の基本方針である。

 政府は核燃料サイクルを原子力政策の柱としてきた。原発の使用済み燃料を再処理し、取り出したプルトニウムを発電に使うというものだ。しかし思うように使えずに増え続け、現在、国内外に47トン保有する。原爆6千発に相当し、海外から厳しい目が向けられている。

 削減の姿勢を示すことで懸念をなくそう、というのが今回の新方針の狙いだ。しかし、具体的な削減量や時期は明記されておらず、国際社会の理解を得られるのか疑わしい。

 そもそも、新方針は根本的な矛盾を抱えている。プルトニウムの使い道がきわめて限られているなか、再処理をして新たなプルトニウムを取り出しつつ、同時に保有量を減らしていこうとしている点である。

 高速炉の開発が行き詰まっているいま、プルトニウムを消費するすべは、普通の原発で燃料として使うプルサーマルしかない。16~18基で実施するのが目標だったが、福島第一原発の事故の後、プルサーマルで再稼働したのは4基にとどまる。

 それでも新方針は「電力会社間の連携と協力を促して保有量を着実に減らす」としている。プルサーマルを再開した電力会社の原発で、まだ再稼働していない会社のプルトニウムを燃やしてもらう、というのだ。

 だが、電力業界ではプルトニウムを融通し合うことへの慎重論が根強い。地元の理解が得られるかどうか不透明なのだ。原子力委員会の狙い通りに電力各社が動くとは思えない。

 一方、青森県六ケ所村の再処理工場が完成すれば、最大で年間7トンのプルトニウムが取り出される。新方針は「プルサーマルに使う分しか再処理を認めない」としているが、少しでも保有量を減らそうというときに、わざわざプルトニウムを抽出するのは理屈に合わない。

 すでに破綻(はたん)している核燃料サイクルの延命と、プルトニウム保有量の削減を両立させるのは無理筋だ。核燃料サイクルからの撤退こそ、事態を打開する第一歩となる。

 核燃料サイクルをあきらめれば、プルトニウムは発電に使う資源ではなく、廃棄するべきごみとなる。海外に引き取ってもらうなどして、保有量を大幅に減らす道が開ける。

 原子力政策の大胆な転換こそ求められている。

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