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 同性カップルを「『生産性』がない」などと評して、厳しい批判を浴びている杉田水脈(みお)衆院議員の主張に対し、自民党がようやく見解を示した。

 「問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現がある」として、今後注意するよう「指導」したと、党のホームページに掲載したのだ。

 杉田氏とは一線を画し、LGBTに寄り添う党の姿勢を示したが、額面通りには受け取れない。自民党はどこまで本気でこの問題に取り組もうとしているのか。

 たしかに、一人の所属議員の言動に党が見解を示すのは異例ではある。だが、二階俊博幹事長が「人それぞれ政治的立場、色んな人生観もある」と問題視しない考えを示すなど、当初の反応は鈍かった。

 これに対し、党本部前で大規模な抗議集会が開かれ、海外メディアも批判的に報じた。石破茂・元幹事長は「そんな心ないことを自民党は許してはならない」と語り、9月の党総裁選のテーマにも浮かんだ。内外の批判に追い込まれ、党見解で収束を図っただけではないか。

 「指導」の内実はつまびらかでない。杉田氏は「真摯(しんし)に受け止め、今後研鑽(けんさん)につとめて参りたい」とコメントしたが、撤回や謝罪はしていない。安倍首相も、人権と多様性が尊重される社会づくりが「政府与党の方針」と述べるだけで、杉田氏の主張への考えを自らの言葉で語ることはなかった。

 杉田氏への批判が広がっているさなか、同党の谷川とむ衆院議員はインターネット放送の番組で、同性愛を念頭に「趣味みたいなもの」と発言した。

 谷川氏は、一昨年に党が作成した「性的指向・性同一性(性自認)に関するQ&A」に目を通さなかったのか。そこには、はっきりと「本人の意思や趣味の問題であるとして片付けてしまうことは、誤りです」と書かれている。議員らに配り、周知する狙いだったが、2年たっても浸透していない。

 今回の党見解は、一昨年の参院選と昨年の衆院選の公約に掲げた「性的指向・性自認に関する正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定」に取り組んでいることを強調している。しかし、法案づくりは足踏みを続けているのが実情だ。

 「性的な多様性を受容する社会の実現」を目指しているというなら、まずは党内をまとめ、議員立法を提出したらどうか。それができないとすれば、党の公約も見解も、うわべだけの言葉と言わざるをえない。

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