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 いじめ、級友や先生とのあつれき、勉強、進路――。悩んでいる子にとって、学校を離れていられる夏は貴重な時間だ。

 2学期が近づくと、そういう子たちは不安定になりやすい。9月1日は18歳以下の自死が年間で最も多い日でもある。

 だから、休みの間にゆっくり気持ちを落ち着かせ、一歩踏みだして、だれかに悩みを打ち明けてほしい。そして、大切な命を守るため、相談しやすい環境を整えるのは大人の責任だ。

 何よりまず、親や先生には話しにくいときでも、他の大人が耳を傾けてくれる場があることを、子どもたちに伝えよう。

 「チャイルドライン」や「24時間子供SOSダイヤル」のほか、地元の弁護士会や市区町村の教育委員会も、相談窓口や担当者を置いている。

 その連絡先をネットでひろめる。チラシにして祭りや花火大会で配る。PTAや自治会などでもできるとり組みだ。

 相談をうける人は、事実確認や指導を急がず、まずはじっくり耳を傾け、苦しい気持ちを分かちあうよう心がけたい。

 「いじめ対策の法律ができたのをきっかけに、学校現場は親の話はよく聞くようになった。しかし、当事者である子どもたちは十分に話を聞いてもらっていない」。関西学院大の桜井智恵子教授は指摘する。

 だから、桜井さんが調査相談専門員をつとめる兵庫県の「川西市子どもの人権オンブズパーソン」では、親から相談が寄せられた場合でも、できるだけ子ども本人に会って、直接話をするようにしている。

 この川西のオンブズパーソンや東京都世田谷区が設ける「せたホッと」は、公的な第三者機関として、教育や福祉、法律などの専門家をそろえている。本人の意向を踏まえ、学校などに働きかけて人間関係を解きほぐす手助けもする。

 「せたホッと」では、弁護士会の法律相談に取り次いだり、学生ボランティアを学校に派遣したりすることもある。

 他の自治体もこうした例を参考に、子どもにかかわる内外の機関と連携を強め、相談に備えてもらいたい。SNSなど身近な相談方法を用意する工夫も必要だ。「相談してよかった」と思ってもらうことが次の相談を呼び、多くの子を救うことにつながるに違いない。

 親を心配させたくない、弱い姿を見せたくないと、一人で悩みを抱え込んでしまう子も多いと聞く。助けを求めるのも勇気であり、大切な人を悲しませない優しさなのだと伝えたい。

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