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 この春おこなわれた全国学力調査(3教科)の結果がまとまった。小6と中3が対象で、テストとあわせて学校や子どもたちにアンケートもしている。

 家庭の経済力によって学力に差が生じる。しかしそれは、授業の工夫によって、ある程度カバーできる――。そんな関係が報告書からうかがえる。

 ただし、「工夫」の具体的な中身まではわからない。

 「習得・活用・探究の学習過程を見通した指導方法の改善・工夫」を「おこなった」と答えた学校で、一定の成果が出ているというデータはある。だが、どんな授業を、どこまでやれば「おこなった」というかは、学校の判断に委ねられるからだ。

 参加校は約3万、学校へのアンケート項目は約80あり、細かなことを聞くには限界がある。大切なのはこの調査をもとに、効果的な教え方や学級規模などを掘り下げて調べることだ。

 その意味で、お茶の水女子大が昨年度、国の委託で実施した研究は示唆に富む。子どもの家庭環境から期待される以上の成績をあげ続けている小中あわせて10校を選び、現場の取り組みを分析したものだ。

 「放課後や昼休みを使って、家では宿題ができない子をつききりで教えた」「県や市から教員を増やす措置を受け、少人数指導をした」といった、なるほどと思わせる対策やヒントが報告されている。

 こうした実証的な研究を深めたい。教育委員会や研究者に協力を求め、調査の対象をもっと広げることはできないか。

 一方で、かねて指摘されているように、学校調査には都道府県や学校の序列化を招き、競争を過熱させる副作用がある。

 毎回高い平均正答率を出す福井の県議会は昨年、県への意見書を可決した。教師に厳しく叱られた中2生徒が自死したのを受けた措置で、学力偏重が「現場に重圧を与え、教員と生徒のストレス要因になっている」と指摘し、教育行政のあり方を根本的に見直すよう求めた。

 この県だけの問題ではない。毎年数十億円もかけて対象学年の全員に受けさせる調査が、こうしたゆがみを生んではいないか。文部科学省こそ、意見書を重く受けとめるべきだ。

 全数調査は数年に1回とし、その分の予算を、教員を手厚く配置したり、授業方法を研究したりすることにまわす。そのほうが、「教え方の改善や教育政策の検証にいかす」という本来の趣旨にかない、何より子どもたちのためになる。調査のための調査にしてはならない。

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