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 災害が起きた時、旅行で日本を訪れたり、仕事や留学で暮らしたりしている外国人の安全をどう確保するか。

 都市部や観光地を中心に外国人は増えており、対策の充実が急務だ。まずは災害関連の情報を素早く的確に伝えるため、地域の実情に応じた「多言語化」を様々な形で加速させたい。

 6月の大阪北部地震では、観光地として人気が高い京都と、宿泊施設が集中する大阪を結ぶ鉄道が運休し、駅や街頭で立ち往生する外国人観光客らの姿が目立った。

 鉄道各社は、主要駅での複数言語による案内表示のほか、外国語に堪能なスタッフの確保、駅員への翻訳アプリ付きタブレット端末の配布といった対策を進めてきたが、例えば外国語でのアナウンスに改善の余地はないか。JRの新幹線と在来線、さらに私鉄や地下鉄を含む各社の情報共有が十分だったかどうかとともに、検証してほしい。

 日本語がよく理解できず、情報不足に陥った外国人が頼りにしたのが在外公館だった。大阪の韓国総領事館には地震発生後、韓国人観光客らから電話が殺到。総領事館は職員を主要駅に派遣し、交通機関の運行状況を韓国語でネット発信するなど、対応に追われたという。

 在外公館は、長期滞在中の自国民の安否確認や保護も担う。自治体や公共交通機関は在外公館ともっと連携を深め、必要な情報や効果的な伝え方について意見を聞いてみてはどうか。

 7月の西日本豪雨では、広島市に住む外国人技能実習生が、携帯電話に届いた「避難指示」メールの内容を理解できず、社宅が土砂に埋もれて負傷した。大規模に冠水した岡山県倉敷市真備(まび)町でも、日系人らの家族が被災し、避難を迫られた。

 国の防災基本計画は「外国人にも十分配慮する」とする。避難勧告・指示の伝達ではネットの重要性が増しており、外国語での発信も避けて通れない。

 事前に災害の恐れを伝えておくことも大切だ。新潟市と国土交通省北陸信越運輸局は今年、防災ガイドつきの観光ガイドを英語と中国語、韓国語で作った。地震や津波の発生時にとるべき行動をイラストを交えて説明し、「観光・防災マップ」で地域の名所とともに緊急時の避難施設も紹介した。長期滞在の外国人にも有益だろう。

 観光・集客施設での館内放送や町なかの掲示板、地図の案内表記でも、多言語化は課題だ。ふだんの着実な取り組みが、災害時に外国人を置き去りにしない社会づくりにつながる。

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