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 日本への侵入・定着が心配される南米原産のヒアリが、この夏も各地で見つかっている。

 多くは中国から来た貨物船のコンテナからだが、今年は成田空港に到着した米国発の積み荷でも見つかった。今後も一定の割合で国内に入ってくることは避けられない。水際で厳重な監視を続ける必要がある。

 もっとも外来種をすべて悪者と決めつけるのは早計だ。スズメは稲作とともにアジア大陸から渡ってきたものだし、シロツメクサ(クローバー)は主に明治期に牧草として持ち込まれ、広まったと考えられている。とはいえ生物多様性という考え方が定着し、人の動きや物流が比較にならないほど活発ないま、適正な管理は不可欠だ。

 生態系や人の健康、農林水産業に被害を与える恐れのある外来種は、法律に基づく「特定外来生物」として、輸入や販売、飼育が制限される。05年にヒアリなど42種類が指定され、いまは148種類に増えた。名古屋城の堀で捕獲され話題となった北米原産の肉食魚アリゲーターガーも昨秋に指定を受けた。

 生き物がひとたび定着すると駆除や根絶は容易でない。

 90年代に大阪で見つかったセアカゴケグモは、昨年までに北海道を含む44都道府県で確認された。亜熱帯にいる毒グモが生息域をここまで広げられるのは、車を介しての移動に加え、冬でも暖かい人工的な構造物のおかげと考えられる。温暖化の影響を指摘する声もある。

 池や用水路などで見かけるミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)やアメリカザリガニは、広くすみ着いてしまった外来種の典型だ。水辺の生態系に影響を与えるため駆除を試みている地域もあるが、特定外来生物には指定されていない。

 効果的な防除法が見いだせないことに加え、指定した場合、これらの動物を現に飼っている人が、飼育が禁じられたと思って自然界に放してしまい、かえって状況を悪化させる危険性があるためだ。

 生き物を飼うときは、その由来や寿命、将来どれくらい大きくなるのかを事前に調べ、最後まで面倒をみる。そんな姿勢で臨まなければならない。

 この先、侵入が警戒される生物には、デング熱を媒介するネッタイシマカなど、健康に影響しかねないものもある。環境省や生物学者は想定される影響を見極め、国民に丁寧に説明しながら対策を進める必要がある。

 監視や防除で他国との協調・連携を強めるなど、視野の広い取り組みが求められる。

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