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 第100回全国高校野球選手権記念大会が終わった。

 大阪桐蔭(北大阪)が、史上初の2度目の春夏連覇を達成した。全国のチームから目標にされるなか、重圧をはね返し、力強い投打で新調された深紅の大優勝旗を手にした。

 それに劣らず強い印象を残したのは、準優勝の金足農(秋田)だ。ベンチ入りした選手全員が地元の秋田県出身という県立の農業高校。東北勢初の優勝には一歩及ばなかったが、決勝戦に進出するまで、強豪校相手に放った試合終盤での逆転本塁打、スクイズで一気に2点を取った好走塁など、若者の無限の力を引き出す甲子園で試合を重ねながら成長していった。

 「雑草軍団」と呼ばれる選手たちの身上は、練習や農業実習で身につけた粘り強さだ。全6試合で応援に駆けつけた地元の町内会長、藤原正三さん(66)は「人口減に悩む秋田に元気を与えてくれた」と話す。「おらほの学校」の活躍に地元はわき、選手も秋田を盛り上げることを励みにした。

 他にも、心に残る戦いぶりを見せ、郷土の人々を活気づけたチームがあった。

 過疎に悩む山あいの里山と水田に囲まれた白山(三重)。東拓司監督(40)が5年前に赴任した当初は部員は5人ほどで、草むしりから始めた。野球が好きな中学生に声をかけて部員は増えたが、一昨年まで10年続けて三重大会の初戦で敗れた。

 そんな状況からつかんだ初の夢舞台に、地元から大応援団が繰り出した。大差で負けたが、選手はスタンド全体からの手拍子にも背中を押され、好プレーを見せた。学校から最寄り駅への道沿いの店舗や民家には「楽しい時間をありがとう」「おかえり 君たちは町のヒーローだ」などと記した貼り紙や黒板が並んだ。

 今大会からタイブレーク制が導入された。選手の健康管理を考慮し、賛否が分かれる中での決定だったが、済美(愛媛)―星稜(石川)戦で逆転満塁サヨナラ本塁打が飛び出すなど、新たなドラマが生まれた。

 選手たちの全力プレーに、学校や地域の人々が一体となって声援を送る。観客がそれを見守り、後押しする。地方大会から甲子園まで、高校野球のすばらしさを改めて感じた人は多いだろう。

 猛暑への対策をはじめ、体への負担が大きい投手を中心とする選手のけが防止の徹底など、大会運営を巡る課題は少なくない。時代に合わせて見直しながら、歩みを進めていきたい。

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