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 昭和の映画全盛期には、教育や記録、宣伝などのための科学映画が盛んに製作された。フィルムの劣化などが原因で失われつつある古い科学映画を守りつつ生かしていこうと、2007年からインターネットでの無料公開を続けているウェブサイト「科学映像館」(http://www.kagakueizo.org/別ウインドウで開きます)による配信が1千作品を超えた。

 運営するのはNPO法人「科学映像館を支える会」。作品を発掘し、著作権者から同意を得た後、デジタル化などの再生処理を加えて無料配信している。

 初めは生命科学分野の作品が中心だったが、米国でつり橋が崩落した時の貴重な映像を収録した「振動の世界」(東京文映、1971年)や、特急列車の運行にスポットを当てた「つばめを動かす人たち」(日映科学映画製作所、54年)など工学系や産業系の作品も紹介するようにし、対象を科学全般に広げていった。記念すべき1千作品目には、国内外で多くの賞を得た「ムーン・ジェリー ミズクラゲのライフサイクル」(東京シネマ新社、77年)をフルハイビジョンで公開した。

 東日本大震災直後には、東京電力福島第一原発の建設時を記録した「福島の原子力」(日映科学映画製作所、77年)など、配信中の映像が国内外の報道で利用された。古い映像の貴重さが認められ、国立国会図書館のデジタルアーカイブに約300作品を納入した実績もある。

 歴史や民俗などに関わる映像も、情報が寄せられれば配信対象に加えてきた。20世紀初頭に米カリフォルニア州へ渡った日本人移民一世の記録「一世の素顔」(ワシズフィルムズ、84年)なども配信している。

 支える会理事長で、明海大名誉教授の久米川正好さん(83)は「配信の開始から11年余りで1千本を超えた。著作権者や技術者のサポートがあり、ここまでやってこられた。ただ私たちの力には限界もあるので、貴重な科学映画を未来に届ける仕組みづくりを、幅広い方々に考えてもらいたい」と話している。(米山正寛)

 <訂正して、おわびします>

 ▼23日付科学面「古い科学映画 配信1000本超」の記事に付く写真説明で、「特急『つばめ』を引く蒸気機関車の機関士」とあるのは「電気機関車」の誤りでした。映画撮影当時、東京発大阪行き「つばめ」が電気機関車から蒸気機関車に交換するのは途中の名古屋で、このシーンは東京を出発する前でした。

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