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 核兵器のない世界の実現へ、日本が抱くべき構想は何か。国際環境の変化を見極めつつ、あらゆる可能性を主体的に探ることが被爆国の役割だろう。

 米国の政権がいま、北朝鮮の非核化を優先課題にしている。前途は不透明ではあるが、近隣各国が今後の安全保障について様々な思惑を巡らせている。

 この機運を逃すことなく、北東アジアの未来像について日本からの発案を果敢に進めたい。その一つとして被爆地・長崎の提言は傾聴に値する。「北東アジア非核地帯」構想である。

 今月9日の平和宣言に盛られており、国内外の専門家が練り上げたものだ。具体的な方策は複数あるが、有力なのは「3+3」と呼ばれる方式だ。

 まず南北朝鮮、日本の3カ国が核兵器の生産や保有をしない非核地帯を形作る。そして、米国、ロシア、中国は、非核地帯の3カ国に対し核の使用や脅しをしない義務を負う――そんな内容を柱にしている。

 一定の地域で条約にもとづき核を排除する非核兵器地帯は、中南米や南太平洋など世界にすでに五つ存在する。

 ただ、北東アジアの場合、ほかの地帯と異なり、日本と韓国が米国の「核の傘」の下にある。中国とロシアの合意を得る難しさを含め、ハードルが高いことは否定できない。

 日本政府はこれまで、非核地帯が核の不拡散に役立つことは認めながらも、北東アジアでは消極的だった。北朝鮮の核による緊張が高まる中では、環境が整わないとの理由からだ。

 だが朝鮮半島の対立構造を変える方策が論じられている今、北東アジアの非核化を目標に据えるのは十分、理にかなう。

 4月の南北首脳による「板門店宣言」は、「核のない朝鮮半島を実現する共通の目標」を確認した。6月の米朝首脳の共同声明は、それを再確認した。

 「非核化された朝鮮半島」に、非核三原則を持つ日本が加われば、北東アジア非核地帯へ発展する地平は開ける。「机上の空論」と片付けず、希望を見いだす構想力が必要だ。

 もちろん、北朝鮮の真意は注意深く見なくてはならない。どんな道程も長い時間がかかることを覚悟すべきだろう。

 それでも、北東アジアの秩序に変化が生まれる可能性がある以上、日本は率先して非核地帯づくりの発信をすべき時だ。

 核戦争の危険性を小さくするための理念を掲げ、米ロ中の3国を説得する。それでこそ日本が自任する非核国と保有国との「橋渡し役」になれるだろう。

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