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 世界第1と第2の経済大国が2度にわたり、制裁と報復の高関税措置を発動し合う異常事態だ。3度目の応酬は絶対に避けねばならない。米中両国は対話を続け、妥協点を見いだす必要がある。

 米国と中国が、年間輸入額にして160億ドル(約1兆8千億円)に相当する互いの輸入品に、25%の高関税を導入した。7月6日の340億ドル分に続く措置だ。

 米国は2千億ドル分を対象にした3度目の制裁を、9月以降に発動することを検討している。実行されれば中国からの輸入額約5050億ドルの半分近くに広がる。中国も対抗する構えで、米国からの輸入額約1500億ドルの7割程度が対象となる見込みだ。「その他の反撃措置」も示唆しており、より深刻な局面を迎える。

 米国の制裁措置は、中国による知的財産の侵害を理由にしているが、狙いはそこにとどまらない。第2弾までの高関税は、中国の産業振興策の恩恵を受ける電子部品などを主な対象としており、ハイテク分野での中国の台頭を牽制(けんせい)する意図が見える。巨額の対中貿易赤字に、トランプ大統領が不満を募らせているのは言うまでもない。

 今回の制裁発動と並行するように、米中の次官級による協議が行われた。米政府によると「両国の経済関係を、公正で均衡の取れた互恵的なものとする方策について、意見を交わした」という。知的財産権の侵害など中国の「構造問題」についても議論したようだ。

 6月初旬の閣僚級以来となる公式対話の再開は、評価できる。対立緩和の糸口を探る場は閉ざさず、歩み寄る努力を続けていくしかない。

 自らの経済力を振りかざし、国際ルールを無視する米国の振る舞いはもちろん許されない。

 米国は欧州連合(EU)と7月下旬、自動車を除く工業製品で関税を下げる交渉で合意し、交渉中は自動車への追加の関税はかけない方針だ。中国とも一時休戦するべきだ。

 中国側にも改めるべき点は多い。いまだに高い関税の引き下げや、知的財産のより厳格な保護、補助金など政府による企業支援の見直しなど、世界第2の経済大国にふさわしい政策への転換が求められる。

 いま何ができるのか。中期的に取り組むべき課題は何か。振り上げた拳をいったん下ろし、冷静に話し合わねばならない。

 制裁と報復の応酬を続けていては、両国だけでなく、世界経済が傷つくだけだ。

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