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 小6と中3が対象の全国学力調査の成績を、校長や教員の人事評価とボーナスに反映させる。各学校への予算配分も、結果にあわせて増減させる。

 大阪市の吉村洋文市長が、こんな方針を打ち出した。

 学力を底上げするのが狙いだというが、理解できない。成績が振るわない学校・地域を置き去りにし、格差を広げかねない。子どもの弱点をつかんで授業の改善に役立てるという調査の趣旨を逸脱し、過度な競争や序列化を招く恐れが強い。

 市長は方針を撤回すべきだ。

 大阪市は、全国20の政令指定都市のなかで、学力調査の平均正答率が2年続けて最下位だった。市長は危機感を示し、順位を上げると宣言。人事評価の具体的な仕組みは市教育委員会とともに協議するとしているが、数値目標を示し、達成したかどうかを目安にする考えだ。

 あまりに短絡的で乱暴だ。

 子どもの学力は家庭の経済状況と強い関係があることが、学力調査に伴う研究でわかっている。行政による支援は、貧困や不登校といった問題を抱える児童・生徒が目立つ学校や地域にこそ手厚くする必要がある。

 大阪市は昨年度、学力調査で課題があると判断した小中70校を対象に、独自の支援策を始めた。それを改善・充実させていくことに集中するべきだ。

 そもそも、学力調査で把握できるのは学力の一つの側面にすぎない。結果を絶対視すれば、さまざまなゆがみを生む。

 かつて東京都足立区では、都や区の試験中に先生が誤答している児童に合図をしたり、障害児の成績を集計から外したりする不正が生じた。その背景には、学校同士を競わせ、成績の伸び率を各校への予算配分に反映させる仕組みがあった。

 吉村市長は「結果に責任を負う制度に変える」「市長の予算権をフルに使って意識改革したい」と語った。

 しかし、テストの点数で先生を競争させるような仕組みを入れると、先生は教科指導に集中できる学校に赴任したがり、様々な課題に直面している学校を嫌う風潮を強めかねない。多様な子どもたちと粘り強く向き合う、そんな数値では測りにくい努力を軽視すれば、教育の根本が危うくなる。

 市長の方針に対し、学校の現場からは懸念や反発が噴き出している。当然だろう。

 まずはその声に耳を傾ける。学力調査の目的を再確認した上で、必要な対策を検討するよう指示する。

 それが市長の役割だ。

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