[PR]

 障害者雇用の旗振り役であるはずの、行政機関のあまりのでたらめぶりにあぜんとする。

 障害者の雇用義務がある国の33行政機関のうち27機関で、国の指針に反して計3460人を障害者数に算入していたことが、厚生労働省の調査でわかった。国の行政機関で働く障害者は昨年6月1日時点で約6900人とされていた。実にその半数以上にあたる。

 厚労省は、中央省庁などの障害者の雇用割合は2・49%で、当時の法定雇用率2・3%を達成しているとしていた。実際は大きく下回る1・19%だったことになる。

 外務省では報告された障害者数の8割以上、国税庁では7割以上が不適切な算定とされた。

 各省庁は、障害者手帳や医師の診断書による確認を怠っていた。国の指針に対する理解不足や解釈の誤りが原因で、雇用率を高く見せる意図はなかったと説明している。本当にそう言い切れるのか。

 政府は今後、第三者委員会を設けて経緯や原因を調べ、10月中に再発防止策をまとめる。同様の問題が発覚している全国の地方自治体についても調べる。徹底的に解明すべきだ。

 不適切とされた3460人分がすべて、全く障害者に該当しないわけではないと、厚労省は説明する。一方で、省庁によっては本人に無断で、障害者数に算入していた事例もあるようだ。実態はどうだったのか。詳しい内訳、全体像を早急に示す必要がある。

 省庁側には、厚労省の通知や指針のわかりにくさを指摘する声もあるようだ。だが、民間は同じルールできちんとやっている。言い訳にならない。

 民間企業は法定雇用率に達しないと、納付金を課せられる。正しく算定しているか検査も受ける。こうしたチェック体制が省庁や地方自治体にはないことも問題だ。実効性を担保する仕組みの整備を急ぐべきだ。

 不適切な算定を続けていた省庁は、障害者雇用の意義を考えていたのだろうか。数字の上で法定雇用率さえ達成すればいい。そんなおざなりな意識が、問題の根っこにあったのではないか。

 障害のある人も能力を発揮し、働きやすい職場作りを進める。その意識があったら今回のようなことは起きないだろう。

 法定雇用率を遅くとも来年末までに達成するよう、各省庁は計画をつくるという。「量」だけでなく「質」の面からも、障害者雇用への向き合い方を見直さねばならない。

こんなニュースも