[PR]

 標高の低い大都市圏での巨大台風などによる大規模洪水に備えて、あらかじめどんな対策を講じておくべきか。近年持ちあがっている大きな課題だ。あさっての「防災の日」を機に、検討のスピードをあげたい。

 海抜ゼロメートル地帯の人口は東京湾176万人、伊勢湾90万人、大阪湾138万人にのぼる。

 政府の中央防災会議は3月にまとめた報告書で、「自市町村内に避難する一般的な避難と同じ考え方が通用しない状況」があり得るとし、広域避難計画の策定を自治体に促した。

 大河川の決壊や高潮が予測される場合、都府県や市区町村の境界を越えて100万人規模の事前避難が必要となる。

 荒川が氾濫(はんらん)すると広い範囲で浸水の可能性がある東京では、先日、江東、江戸川など東部5区が広域避難計画を発表した。巨大台風の襲来で人口の9割以上の250万人が被害を受けるとし、氾濫の恐れがある72時間前に5区で検討を開始し、24時間前の段階で広域避難勧告を発令することなどを決めた。

 足並みをそろえて対策を打ち出したのは前進だ。その上で、さらに考えるべき問題は多い。

 現段階では行政が避難場所を指定することはせず、親類や知人宅、ホテルなどへの避難をすすめている。だが、すべて住民任せでは途方に暮れる人も多いだろう。中央防災会議は、離れた自治体同士が協定を結び、受け入れ態勢を準備しておく案も示している。国や都が先頭に立って議論を進めてほしい。

 駅や橋に避難者が殺到してパニックになったり、移動途中に氾濫に巻き込まれたりする恐れもある。取り残された人をすみやかに助け出すことも求められよう。鉄道各社や警察、消防など関係機関が協議を重ね、役割分担を詰めていきたい。

 東海では名古屋市や愛知県などでつくる協議会が伊勢湾台風以上の被害を想定。大阪では府や市などによる検討会が、「スーパー台風」を念頭に広域浸水への対策を協議している。だが避難計画の策定には至っていない。地域の特性に応じて、検討を急がなければならない。

 住民も意識を高める必要がある。洪水になれば水道や電気、ガスは止まる。水が引くまでに2週間以上かかるとの見立てもあり、上層階に逃げれば安心というわけにはいかない。

 西日本豪雨などを受け、住民と情報を共有することの重要性を再認識した自治体も多い。危機感をもってともに事にのぞむために、まず水害の怖さを認識し合うことが不可欠だ。

こんなニュースも