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 安倍政権になって、防衛予算の特別扱いが目立つ。厳しい財政事情の下、予算の制約を忘れたかのような増額を、いつまで続けるつもりなのか。

 防衛省がきのう来年度予算の概算要求を公表した。今年度当初予算比2・1%増で、総額は過去最大の5兆2986億円。要求増は7年連続だ。

 だが、おそらく政権にとってはまだ助走の段階に過ぎない。より重要なのは、年末に控える防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画の改定だ。この決定が、防衛費のさらなる拡大を招く分水嶺(ぶんすいれい)となる可能性が高い。

 「従来の延長線上ではなく、真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めていく必要がある」。安倍首相は先月末、大綱見直しに向けた有識者懇談会の初会合で、そう強調した。

 これまで対GDP(国内総生産)比1%、5兆円前後で推移してきた防衛費のタガが、一気に外れる恐れがある。

 今回の概算要求にその萌芽(ほうが)がある。防衛省は、陸海空という従来の区分けを超え、宇宙、サイバー、電磁波といった新領域の活用が死活的に重要として「クロス・ドメイン(領域横断)」構想を掲げた。

 これらが、安全保障上の新たな課題であることは確かだ。しかし、十分な検討を伴わなければ、総花的に多額の予算を投じるだけに終わりかねない。

 変化する安保環境を見極めつつ、予算や人員の制約を踏まえてどのような戦略をたて、何を重視し、何を削るのか。優先順位をつけねばならない。

 その意味でも、2352億円の取得経費を計上した陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」には、大きな疑問符がつく。巨額な費用に見合う効果があるのか。政府の説明はなお不十分だ。

 気がかりなのは、米政府から兵器を買う有償軍事援助(FMS)が安倍政権下で急増していることだ。来年度は陸上イージスやF35戦闘機の購入などで6917億円。2012年度の1380億円の約5倍にのぼる。

 FMS調達の支払いの大半は複数年度にわたり、後年度負担が後々の予算を縛る。米国側の事情で後から契約額がふくらむこともあり、かねて予算の膨張要因と指摘されてきた。

 トランプ米大統領が対日貿易赤字の削減に向け、米国製兵器の購入を求めているが、防衛費の歯止めなき拡大は許されない。少子高齢化が進む日本の身の丈にあった「真に必要な防衛力」の議論を、年末に向けて徹底的に行わねばならない。

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