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 ひとりで子どもを育てる親の税負担を軽減する「寡婦(寡夫)控除」の対象に、未婚のひとり親も加える見直し案を、厚生労働省が税制改正要望に盛り込んだ。昨年末の与党税制改正大綱で検討課題とされたことを受けて、初めて提案した。政府・与党内で年末の大綱決定に向けて議論される。

 家族のかたちは多様だ。ひとり親となる事情も様々だ。なのに同じひとり親家庭で、親が法律上の結婚をしていたかどうかで差をつけるのは不合理だ。子どもの貧困対策、公平・中立・簡素という税制の原則の観点からも、速やかに見直すべきだ。

 寡婦控除の制度は、夫を戦争で失い、子どもを抱えて困窮する女性を支援するため、1951年にできた。所得税や住民税の負担を軽くするため、課税所得から一定額を差し引く。控除の適用があるかないかは、税制以外の様々な低所得世帯向けの施策にも影響する。

 制度の見直しを重ね、子どものいない女性や、妻を亡くした夫にも対象は広がった。だが、配偶者と死別や離婚した人に限られ、未婚のまま子どもを育てるひとり親は制度の外に置かれてきた。

 16年の厚労省の調査によれば、推計で123万の母子世帯のうち「未婚の母」は約10万7千世帯で、「死別」の約9万9千世帯を上回る。未婚の母の世帯の年間就労収入は平均177万円で、母子世帯全体の平均200万円より少ない。

 親の経済状況は子どもの成長に大きく影響する。なのに経済的により苦しい世帯が、支援から取り残されている状況だ。

 厳しい現実を知る自治体の現場ではすでに、保育料などの基準となる所得を算定する際に、未婚のひとり親も寡婦控除を受けているとみなす「みなし適用」が広がっている。後追いする形で国も、公営住宅の家賃の減免や子どもの医療費の助成制度などで「みなし適用」を進め、9月からは保育所や幼稚園の利用料にも適用を広げた。

 だが、「みなし適用」はそもそも、国の税制が実態に合っていないため、自治体が考え出した苦肉の策だ。住民税にも同じ問題があり、解決のためには税制自体を変える必要がある。部分的な手直しを重ねるのではなく、根本の矛盾を国が解消するのが筋だ。

 与党・自民党内には法律婚にこだわる議員が少なくない。子育て支援の拡充、子どもの貧困対策を掲げる安倍首相は党内を説得し、見直しに道筋をつけるべきだ。

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