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 新世代ジャズ界を牽引(けんいん)するサックス奏者、カマシ・ワシントンが夏恒例の音楽祭「サマーソニック2018」出演のために来日。東京、大阪でそれぞれ単独公演も行った。東京公演2日目、8月20日のファーストステージを見た。

 高僧のような威厳を漂わせつつカマシが登壇。幕開けは最新アルバム「ヘブン・アンド・アース」の収録曲「ハブトーンズ」だ。偉大な先達、フレディ・ハバード作の1960年代ハードバップを強烈なビート感でリメイクして聞かせた。カマシのテナーサックスの他、トロンボーン、キーボード、ウッドベース、ドラム×2、ボーカルの7人編成。トロンボーンもベースもエフェクターで音質を過激に変化させながら刺激的な演奏を繰り広げた。カマシも冒頭から全開。熱い幕開けだった。

 ゴスペル的穏やかさが漂う「ジャーニー」、人気格闘ゲームを題材にした「ストリート・ファイター・マス」など新作からの曲がメイン。が、もっとも手応えを感じさせたのは昨年のミニアルバムの収録曲「トゥルース」だった。各メンバーが互いのフレーズを緻密(ちみつ)に折り重ねカタルシスに満ちた神々しい音の宇宙を編み上げていた。

 かつて求心的なジャズ奏者たちは即興演奏を極めるためあらゆる予定調和を廃し、ひたすら「個」の内省へ埋没していった。対して、カマシはより集合体としての表現にこだわる。もちろん激しい即興演奏の応酬もあるが、そんなときでも彼は驚くほど冷静に全体を見据えている。デビッド・ボウイ、ケンドリック・ラマーら、ジャズ以外の場でも幅広くセッションを経験してきたカマシならではのバランス感覚か。とともに、この姿勢は分断の時代に向けた彼なりの強烈なメッセージでもある。(萩原健太・音楽評論家)

 <訂正して、おわびします>

 ▼3日付音楽・舞台面の「評 カマシ・ワシントン」の記事で、「東京・六本木、大阪・梅田のビルボードライブでそれぞれ単独公演も行った」とありますが、大阪の会場は「心斎橋のBIGCAT」の誤りでした。

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