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 トラックや乗用車が横転し、街路樹や電柱が倒れる。住宅の屋根やビルの看板がはがれて宙を舞う。

 25年ぶりという非常に強い勢力で四国、次いで近畿地方に上陸した台風21号は、日本列島に沿って北上し、各地で過去の観測記録を上回る最大瞬間風速を記録した。倒壊した建物の下敷きになるなどして10人を超す死者と多数のけが人が出たのをはじめ、大きな被害を残した。

 まずは被災者への支援と復旧である。同時に強風の恐ろしさを改めて認識したい。しっかりした造りの建物内で待機する。住宅などの一部が壊れて「凶器」と化さないよう、事前に対策を施す。そうした基本を徹底することが大切だ。

 風は、さまざまに都市の機能を破壊する。

 電柱の倒壊や電線の切断によって、広い地域で停電した。関西電力管内ではのべ218万戸以上が停電し、1995年の阪神・淡路大震災(約260万戸)につぐ規模となった。

 信号が消えて交通渋滞が生じた。厳しい残暑が続くのにエアコンや扇風機も使えず、被災者の健康が心配だ。電力会社は復旧に全力をあげてほしい。

 低気圧で上昇した海面に強風が吹きつけることで高潮が発生し、近畿や四国で、第2室戸台風(61年)などで記録した過去最高潮位を超えた。港湾や臨海部の住宅地に海水が流入し、海上の人工島にある関西空港は前例のない事態に直面した。

 94年の開港から地盤沈下が続き、04年の台風で浸水したため護岸のかさ上げ工事を続けてきた。それにもかかわらず第1滑走路に最大50センチ水がたまるなど、広範囲に冠水。沖合に停泊していたタンカーが流されて空港と対岸を結ぶ連絡橋に衝突したこともあり、「孤島」となった空港に3千人超の利用客が取り残された。

 船やバスによる救出が続いたが、空港再開の見通しはたたず、連絡橋を通る高速道路や鉄道の復旧に時間を要しそうだ。

 国の運輸安全委員会はタンカー衝突の原因を調べる。空港の施設や運営についても、事前の想定と対策が十分だったか、幅広い検証が必要だ。「想定外」で終わらせてはならない。

 JR西日本や近畿の私鉄は気象庁の予報をもとに早めの運休を予告し、実施した。百貨店をはじめ休業する会社が目立ち、帰宅困難者の発生を防ぐ効果が指摘されている。

 被害の拡大を防ぐ取り組みをどう定着・徹底させていくか、検討を重ねていきたい。

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