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 6日午前3時8分ごろ、北海道胆振(いぶり)地方中東部を震源とする地震が発生。安平(あびら)町で震度6強を観測、厚真(あつま)町も同6強と推定されるなど道内各地が大きな揺れに襲われた。北海道庁によると、むかわ町と新ひだか町で2人が死亡。厚真町では大規模な土砂崩れが発生し、町によると少なくとも30人が安否不明、5人が心肺停止との情報がある。家屋の倒壊も相次ぎ、けが人が多数出ている。道内のほぼ全域の295万戸が停電し、列車もすべてストップしている。▼12・13面=土砂の帯直撃

 北海道庁によると、土砂崩れがあった厚真町吉野地区では12人の無事を確認、十数人が安否不明。地区に通じる道路が土砂に覆われているため、道の防災ヘリと道警航空隊のヘリが救助にあたっている。各地で大規模な土砂崩れや家屋の倒壊が発生し、6日午前11時現在、道外からの応援を含めて警察、消防、自衛隊など約2万人、ヘリコプター51機の態勢で捜索救助活動にあたっている。

 北海道電力によると、地震発生直後、北電最大の火力発電所の苫東厚真発電所(厚真町)が緊急停止するなどし、道内ほぼ全域の全295万戸が停電している。全域での停電は初めて。世耕弘成経済産業相は6日午前、「北海道全域が完全に復旧するまでには少なくとも1週間以上かかる見通し」と話した。

 新千歳空港の6日の発着便は、国内線、国際線とも全便欠航となった。JR北海道も6日朝の始発から全線で運転を見合わせた。

 厚労省によると、午前9時現在で、道内では23災害拠点病院を含む82病院で停電。停電や水道管の破損で札幌市など16市町2239戸で断水が生じている。札幌市立小中学校はこの日、すべて休校となった。総務省消防庁は6日午前、333カ所で避難所が開設され、約2500人が避難していると明らかにした。

 今回の地震の規模を示すマグニチュード(M)は6・7、震源の深さは37キロ(いずれも暫定値)と推定されている。津波の心配はないという。胆振地方で発生した地震としては、統計を取り始めた1923年以降、最大規模となる。

 道内は5日午前、台風21号の影響で激しい風雨に見舞われ、さらに6日から7日にかけても雨が強まる可能性がある。気象庁によると、最初の激しい揺れ以降、正午までに胆振地方中東部では震度1以上の地震が52回発生。活発な地震活動が続いている。同庁地震津波監視課の松森敏幸課長は会見で、今後1週間程度は最大震度6強程度の地震に注意が必要とし、「崖崩れが起きた場所に近づいたりしないようお願いしたい」と呼びかけた。

 各地の震度は次の通り。

 ▽震度6強 安平町

 ▽震度6弱 千歳市

 ▽震度5強 苫小牧市、恵庭市、札幌市北区、江別市、三笠市、長沼町、新ひだか町

 ▽震度5弱 室蘭市、登別市、白老町、北広島市、岩見沢市、南幌町、由仁町、栗山町、石狩市、新篠津村、函館市、伊達市

 ■大型火力停止から連鎖

 大手電力会社のほぼ全域での停電は、国の電力広域的運営推進機関によると初めて。背景には、発電拠点の立地に加え、本州との連系線の弱さもある。

 震源地に近い苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所(北海道厚真町)は165万キロワットを発電できる北海道電力で最大の火力発電所だ。当時は、北海道全体の約半分の電力を供給していた。

 これが止まり、北海道全体の使用量と発電量のバランスが崩壊。本来は一定に保つ必要がある周波数が下がった。この影響で道内のほかの火力発電所も運転が止まり、離島を除く北海道ほぼ全域の停電に至ったという。

 大阪電気通信大の伊与田功教授(電力系統工学)によると、電力の需要と供給のバランスが大きく崩れると、設備への負荷やトラブルを避けようとして、各地の発電所で電気の供給を遮断する安全機能が働く。

 北海道では、最大の電力消費地である札幌都市圏の南東に苫東厚真発電所、西に泊原子力発電所(北海道泊村、207万キロワット)があるが、泊原発は再稼働していない。重要施設の直下に断層が走っており、原子力規制委員会の審査が続いている。

 北海道と本州のあいだには、電力をやりとりできる「北本連系線」がある。しかし、これを使うには北海道側で受け取る直流を交流に変換するための交流電力が必要で、これを調達できなくなった。

 また、この連系線の能力は60万キロワットで、苫東厚真の発電能力の2分の1に満たない。連系線の脆弱(ぜいじゃく)さが浮き彫りになった形だ。

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