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 米国と北朝鮮の首脳の間で、また唐突な動きが表面化した。2回目の首脳会談へ向けて調整を進めているという。

 米側によると、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長から親書が届いた。「心がこもった手紙」で再会を求めており、トランプ大統領は応じる意向だとしている。

 大統領はつい先月、「非核化への進展がない」として、国務長官の訪朝を中止させたばかりだ。それが一転、再会談へかじを切るのは不可解に映る。

 特異な独裁体制を敷く国だけに、首脳同士が率直に意思疎通する意義は否定できない。だが、米政府は拙速にことを進めてはならない。非核化への具体的な道筋を確実に描きだすために、周到に環境を整えることが次の首脳会談に欠かせない。

 北朝鮮はことあるごとに、朝鮮半島を非核化する意思を示してはいる。しかし国際社会が安堵(あんど)できない最大の理由は、行動が伴わないことにある。

 核保有は目的ではなく、経済再建こそ急ぎたいという。それが真意なら、北朝鮮はまず非核化への第一歩とされる、国内のすべての核関連施設の申告に速やかに応じるべきである。

 先週訪朝した韓国の特使団に対し、金正恩氏は米朝の敵対関係の清算と非核化の意向を繰り返した。しかも、トランプ氏の1期目の任期内に実現させたい旨を語ったという。

 トランプ氏の歓心を買う戦術は明白だ。米政府内に根強い警戒論を退け、大統領を引き寄せる狙いだろう。トランプ氏はそもそも地道な交渉の積み上げを嫌う。2人の個人的な関係にすべてをゆだねるのは危うい。

 トランプ氏が自らの判断で踏み切った6月の初の米朝首脳会談は、双方が求める大枠を確認しあったが、そこに至る具体策は乏しかった。

 米朝の事務レベルの交渉が滞るなか、実質的に仲介役を担っているのは韓国の文在寅(ムンジェイン)政権である。南北首脳は来週、今年3度目となる会談を平壌で予定している。

 南北首脳間には一定の信頼関係が芽生えつつある。文大統領は金正恩氏に対し、なぜ非核化を急ぐ必要があるのかを改めて説得すべきだ。

 南北会談では非核化問題のほか、北朝鮮が最近、米国に強く求めている朝鮮戦争の終戦宣言も議題に上がるだろう。

 宣言をめぐっては、北朝鮮が在韓米軍の撤退や縮小を迫る口実に使いかねないとの指摘がある。まずは南北間で、政治的な宣言にすぎない、といった定義を詰める必要がある。

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