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 北海道で未明に大地震が起きた直後、停電した病院で、多くの人に励まされて生まれた命があった。子どもたちの笑顔を取り戻そうと、支える人たちもいる。▼スポーツ面=高梨選手「恩返ししたい」

 ■地震で停電中、元気に「おぎゃー」

 6日午前3時過ぎ、震度5強を記録した札幌市北区の札幌マタニティ・ウイメンズホスピタル。初産を控えた山田亜希さん(39)は、若い助産師に車いすを押してもらって出産のための部屋へ向かっていた。

 部屋に入ったちょうどその時、縦揺れに襲われた。

 「何が起きたの?」。そう思ったと同時に、助産師が山田さんに覆いかぶさり、「大丈夫、大丈夫」と声をかけた。

 院内は直後に停電。非常用電源に切り替わって廊下や病室が薄暗くなったが、部屋は通常の明かりが確保された。何人もの助産師に励まされ、夫に体を支えられ、山田さんは出産に集中した。

 午前5時43分、「おぎゃー」という元気な声が響いた。「よく生まれてきたね」。山田さんは小さな体に声をかけた。涙が出てきた。

 長男には、隼大(しゅんた)と名付けた。眉毛がりりしく、母乳をよく飲む。「地震も、その前の台風も乗り越えて生まれてきた。器の大きな人になってほしい」と願う。

 いま振り返ると、車いすに乗っていてよかったと思う。「陣痛で痛いし、揺れているし、赤ちゃんは気になるし。でも、導かれた感じがする」

 東京在住で、里帰り出産だった山田さん。11日、両親と隼大ちゃんとともに病院を後にした。(青木美希)

 ■こども園再開、保育士が集結

 震度6強を観測した北海道安平町で、地震の2日後に再開したこども園がある。職員の多くが被災するなか、園長がSNSで協力を呼びかけたところ、全国から保育士やボランティアが集まった。

 同町早来大町の「はやきた子ども園」。幼稚園と保育所、学童の複合施設で、0~12歳の約300人が通う。8日に再開し、10日は約180人が登園。ボランティアに見守られ、子どもたちが走ったりお絵かきをしたりして、思い思いの時間を過ごしていた。

 6日未明の地震で、出勤できる保育士は4人だけに。園長の井内聖(いうちせい)さん(44)は7日、SNSにこう書き込んだ。「保育者が必要です。子どもの心的負担軽減と保護者の自宅復旧支援のためです」

 すると、8日には道内を中心に大阪や愛知などからも保育士やボランティア約30人が集まり、10日までに延べ200人にのぼった。札幌市から駆けつけた会社員、菅野真喜さん(49)は「自分にも子どもがいて、いてもたってもいられなかった。できることをしたかった」と話した。

 6歳の娘、小都美(ことみ)さんを預ける同町の農業、高田晴美さん(42)は「地震で農具が壊れ、大変な毎日。園のおかげで、畑の整備や農具のかたづけができて、本当に助かっている」と喜ぶ。井内園長は「災害が起きると、どうしても子どもたちは後回しになることが多い。再開後は子どもたちがみな笑顔で、安心している。感謝してもしきれない」と話した。(藤原伸雄)

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