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 行政や政治への不信を招き、今なお多くの国民がその説明に納得していない森友・加計問題にどう向き合うのか。

 そのうえで、少子高齢化や人口減など、この国が直面する深刻な課題に、新たな任期の3年でどう取り組むのか。

 自民党の党則を変えてまで3選をめざす安倍首相の口から、いずれも明確な答えは聞けなかったといわざるをえない。

 日本記者クラブできのう、首相と石破茂・元幹事長による自民党総裁選の候補者討論会が開かれた。

 公平・公正な政治と行政は、あらゆる政策遂行の前提である。記者からの質問は冒頭、森友・加計問題に集中した。首相は「謙虚に、丁寧に」と低姿勢ではあったが、追及が各論に及ぶと、これまでの国会での対応と同様に、話をはぐらかしたり論点をすり替えたりした。

 驚いたのは、昨年の総選挙で「国民の審判を仰いだ」と、一定のみそぎを済ませたかのような認識を示したことだ。森友学園をめぐる公文書の改ざん、加計学園をめぐる首相の説明と異なる愛媛県の文書が明るみに出たのは今年に入ってからだ。

 首相に近い人物が特別扱いされたのではないかという疑念は一向に解消されてはいない。一連の疑惑にふたをしたまま、安定した政権運営などできないことを、首相は自覚すべきだ。

 「次の3年」をめぐる政策論争も、具体性を欠いた。

 首相は、人生100年時代を見据えた社会保障の改革に取り組む決意を強調した。年金の受給開始を70歳を超えても選べる制度の検討などに言及はしたものの、給付と負担の全体像について、中長期的な視点に立った構想は示されなかった。金融緩和の「出口」にも触れはしたが、アベノミクスの今後について、明確な説明はなかった。

 安倍政権の功罪を検証するうえで、挑戦者の石破氏の責任は重い。所見発表演説会で「国民のみを恐れ、何者も恐れず、真実を語る」といった気概通り、1強政治の弊害について、正面切って提起してほしい。

 政策についても同様だ。地方や中小企業などにアベノミクスの恩恵が波及していないと批判しながら、好循環を生み出す道筋は描けていない。社会保障政策の司令塔となる新組織の立ち上げもいいが、国民が知りたいのは具体的な将来像だ。

 20日の投開票まで1週間を切った。事実上の首相選びにふさわしい論戦にできないと、政治と国民の距離は広がるばかりだろう。

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