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 ●安田浩一著『「右翼」の戦後史』 かつて右翼の重鎮野村秋介は、自らの存在を「民族の触角」と称した。天皇をあがめ、国と民族の誇りにこだわってきた日本の右翼。だが現在、「ネトウヨ」と「本物の右翼」の境界はあいまいになり、偏狭な排外主義をあおり、国家権力の番犬になっていると、著者は厳しく断言する。敗戦により「自我の崩壊」を経験しつつも、反共勢力として復活し、70年安保を画期に新たな展開をとげてきた、その歴史と現在を描く。

 (講談社現代新書・907円)

 ●吉田正人著『世界遺産を問い直す』 国内各遺産の現状と課題を解説する。世界遺産条約で評価基準を自然と文化に分ける慣行に対し、2013年にカナダ先住民が異議を唱えた。日本では白神山地で林道建設反対運動がおこり、自然資源の利用と自然保護をどう両立させるかが注目された。屋久島では、急増した登山客が一段落した後も、登山道の荒廃が続く。地元の関わり方もカギを握る。

 (ヤマケイ新書・950円)

 ●寺西重郎著『日本型資本主義』 西洋資本主義の基礎にはプロテスタンティズムの禁欲的な職業倫理があるとされるが、それとは異なる文化的伝統が日本にはある。職業を通じた求道、公共世界より身近な他者との関係の重視、自然との融和性など、日本型資本主義の精神は、雇用システムや金融行動をつうじて現在にも流れる。その源を本書は、鎌倉新仏教や江戸期の通俗道徳にみて、儒教由来の東アジア型とも区別。グローバル化の中での立ち位置を探る。

 (中公新書・950円)

 ●野村恭代著『施設コンフリクト』 障害者施設などの建設が住民の反対にあったとき、差別や偏見の解消をめざす従来の理解重視アプローチは、感情的な対立と分断を克服できなかった。合意形成に成功した事例からは、時間をかけて両者の信頼を築くことの重要性が浮かぶ。地域に新たな関係をつくりだすコミュニケーション手法の提案。

 (幻冬舎ルネッサンス新書・864円)

 <訂正して、おわびします>

 ▼15日付読書面で紹介した新書「『右翼』の戦後史」からの引用で、「民族の触覚」としたのは「民族の触角」の誤りでした。確認が不十分でした。

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