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 地球温暖化防止というゴールをめざし、世界が力強く走り始めた感がある。企業や自治体、NGOなど「非国家主体」の取り組みが広がっているのだ。

 企業がビジネスに使う電気をすべて再生可能エネルギーにしたり、科学的な温室効果ガスの削減目標を掲げたりする。投資家たちが化石燃料ビジネスから投資を引き揚げる一方、再生可能エネルギーに積極的に資金を振り向ける――。

 これらはいずれも、企業や投資家が自らの判断で脱炭素化に動いている実例である。

 米国ではトランプ政権がパリ協定からの離脱を決めたことに反発し、州政府や都市、企業、大学などが温暖化対策を続けていくと宣言した。賛同する組織は3500を突破し、排出量を合わせると米国全体の3分の1を超える。「非国家」の潜在力がいかに大きいかがわかる。

 先週、米国であった「グローバル気候行動サミット」に世界の非国家主体が集まり、いかにして温暖化対策を加速させていくのかを議論した。

 パリ協定は今世紀後半に温室効果ガス排出の実質ゼロをめざしている。国家が政策によって社会を引っ張っていくことは重要だが、上からの対策だけでは目標の達成はおぼつかない。企業や自治体が知恵を絞り、脱炭素の裾野を広げていく必要がある。「非国家」の力を最大限に生かせるかどうかが、排出ゼロ実現の鍵を握るのだ。

 非国家の担い手は、政府との対話を通じて政策を提言していく役割も担っている。

 そもそもパリ協定の採択においては、企業や自治体、NGOが各国政府の背中を押すという役割をはたした。今後、各国が5年ごとに目標を見直すに当たっても、政府の外からの提案や助言を新たな目標に反映するのが自然な流れといえる。

 日本でも、非国家の担い手たちが連合体を立ち上げたり、国際的な運動に加わったり、動きが活発になってきた。市民にとって政府より身近な企業や自治体の取り組みが盛んになれば、「脱炭素社会をめざそう」という機運も高まるはずだ。

 残念ながら、日本政府はパリ協定にもとづく長期戦略の議論を始めたばかりで、主要国の中で出遅れ感が否めない。脱炭素の波に乗れるよう、企業や自治体、NGOは環境省や経済産業省、外務省に、野心的な長期戦略づくりを促してほしい。

 「国家」と「非国家」の両輪でゴールをめざす。脱炭素時代にふさわしい姿に社会を変えるには、それしかない。

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